皆さんは引張試験や硬さ試験を行ったことはありますか。
どちらも材料の特性を把握する試験ですが、どのように違うのでしょうか。
今回は、引張試験と硬さ試験について解説していきたいと思います。
引張試験とは
引張試験とは、材料に引張荷重をかけて、破断するまでの特性を調べる試験です。
材料を破断させるため、破壊試験に該当します。
引張試験の目的
引張試験は、材料の強度や延性を評価します。
主に設計時に必要な許容応力などを算出するために行うことが多いです。
引張試験の方法
まず、試験片を用意します。
この試験片は、引張試験機に取り付けられる形状であれば、適用可能です。
引張試験機に取り付けた後は、一定の速度で荷重をかけます。
荷重を加え続けると、試験片は伸び続けますが、ある程度まで伸びた後に破断します。
この破断するまでの応力と伸びの関係を記録します。
ここまでが引張試験の一連の流れとなります。
引張試験で分かる特性
引張試験では以下のような特性が分かります。
- 引張強さ:最大荷重を断面積で割った値
- 降伏強さ:永久変形が始まる応力値
- 弾性率:応力とひずみの比例定数
- 伸び:破断後の伸び率
- 断面縮み率:破断後の断面積の減少率
硬さ試験とは
硬さ試験とは、材料の表面に押し込みや傷をつけることで、材料の硬さを測定する試験のことを指します。
凹みを測定するため、非破壊試験に該当します。
硬さ試験の目的
硬さ試験は、材料の耐摩耗性や塑性変形への抵抗力を評価します。
簡易的に材料強度を推定するための指標を得ることができます。
代表的な硬さ試験の方法
硬さ試験は、種類によって測定方法が変わります。
- ブリネル硬さ:鋼球を用いて荷重を加え、凹みの直径から硬さを算出
- ビッカース硬さ:ダイヤモンドの四角錐を押し込み、対角線の長さから硬さを算出
- ロックウェル硬さ:圧子を押し込んだ深さから硬さを測定
- ショア硬さ:ダイヤモンドのハンマーを落とし、跳ね返りの高さを測定
硬さ試験で分かること
硬さ試験では、材料の硬さのみ分かります。
ただし、非破壊で評価できるため、引張試験と比べて低コストで測定が可能です。
また、材料によって測定する硬さ試験が変わります。
硬めの金属にはブリネル硬さ試験を使用し、柔らかいゴム材にはショア硬さ試験を使用することが多いです。
試験の活用事例
引張試験の活用事例
例えば、航空業界では、軽量化と強度のバランスが必要になります。
そのため、軽量化する材料の引張強度や降伏点を判断するために、引張試験を行います。
また、自動車業界でも、衝突時の安全性を確保するため、強度判断のために使用されることがあります。
硬さ試験の活用事例
硬さ試験は、工具の耐摩耗性評価に使われます。
例えば、ドリルや刃物の硬さがどのくらいあるかを評価します。
他にも製造工程の品質管理のために用いられることもあります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は引張試験と硬さ試験の違いについて解説していきました。
まとめると以下のようになります。
- 引張試験は、材料に荷重を与えて引張強度などの特性を得る
- 硬さ試験は、圧子を押し込んで材料の硬さを確認する
- どちらも材料の特性を知るために用いられる