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材料力学

一点集中荷重VS分散荷重【材料力学的考察】

皆さんはこんなことを考えたことはないでしょうか。

「一個だけのことに集中する人と、平均的に何でもこなす人のどちらがいいか?」

ちなみに私はどちらかというと、一個のことだけに集中するタイプです。

人に対しては、時と場合によって様々な解釈ができると思います。

では材料力学の世界ではどうでしょうか。

これは材料力学の荷重で言い換えれば、「一点集中荷重」と「分散荷重」のどちらが良いか、ということに言い換えられます。

今回は梁の一点集中荷重と分散荷重の違いについて考察していきたいと思います。

前提条件

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荷重は、断面が10mm×10mmで長さ1mの鉄の梁に対して加えるものとします

梁の支え方も、片持ち梁、両端単純支持梁、両端固定支持梁の3パターンで比較していきます。

集中荷重の場合は、片持ち梁のときは先端に、両端支持梁のときは中央に与えるものとします。

荷重による変化の比較のため、重力は無視して考えます。

このときの最大のたわみをそれぞれ比較していきます。

つまり、荷重のタイプ2パターン×支持方法3パターンで6パターンの比較になります。

ちなみに、たわみ(変形)については以下の記事で解説しています。

たわみの計算

片持ち梁の場合

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片持ち梁のイメージ

片持ち梁で一点集中荷重の場合、たわみは以下の式で表されます。

数式

$δ=\dfrac{F・L^3}{3E・I}$

$δ$:梁の最大たわみ[$m$]

$F$:物体にかかる荷重[$N$]

$L$:梁の長さ[$m$]

$E$:物体のヤング率[$Pa$]

$I$:梁の断面二次モーメント[$m^4]

一方で、分散荷重の場合は以下の式で表されます。

数式

$δ=\dfrac{w・L^4}{8E・I}$

$w$:単位長さあたりの荷重[$N/m$]

ここでは荷重の合計を集中荷重と一致させるため、$F=w・L$という関係式が成り立ちます。

両端単純支持梁の場合

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両端単純支持梁のイメージ

片持ち梁と同じように考えていきます。

各数式は以下のように表されます。

数式

中央集中荷重の場合

 $δ=\dfrac{F・L^3}{48E・I}$

分散荷重の場合

 $δ=\dfrac{5w・L^4}{348E・I}$

両端固定支持梁の場合

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両端固定支持梁のイメージ

単純支持梁の場合と同様に、数式を考えると以下のようになります。

数式

中央集中荷重の場合

 $δ=\dfrac{F・L^3}{192E・I}$

分散荷重の場合

 $δ=\dfrac{w・L^4}{348E・I}$

変形値の結果比較

ここでそれぞれの式に値を代入していきます。

断面二次モーメントは以下の値にて計算します。

数式

$I=\dfrac{b・h^3}{12}$

$b$:梁の断面の幅[$m$]

$h$:梁の断面の高さ[$m$]

$b=0.01m、h=0.01m、L=0.1m、E=205×10^9Pa、F=1N、w=10N/m$として値を代入していくと、以下のようになります。

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梁のたわみの計算結果

赤文字は最大たわみを、青文字は最小たわみを示しています。

この結果から、どの支持状態でも、一点集中荷重の方が梁のたわみが大きくなることが分かります。

当然のことながら、固定方法を厳しくすればたわみを抑えることも可能です

例えば、同じ一点集中荷重でも、片持ち梁から両端固定支持梁に変えるだけで、1/64(=0.305/19.5)までたわみを抑えることができます。

機械工学の設計では、このようなことを利用して、固定方法を変えたり、荷重を分散させたりして、材料のたわみ、つまり変形を抑えるように設計しています

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は一点集中荷重と分散荷重について、材料力学の観点から考察してきました。

計算結果から、

まとめ
  • どんな支持方法でも、分散荷重の方がたわみが少ない
  • 一点集中荷重でもしっかり支持することで、たわみを抑えられる

という2点が分かったと思います。

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