<景品表示法に基づく表記>本サイトのコンテンツには、商品プロモーションが含まれている場合があります。

材料力学

袋に切れ込みがあるとなぜ切れやすい?【材料力学的解説】

皆さんは袋に切れ込みがある理由を考えたことはありますか。

ポテトチップスや冷凍食品の袋には、必ずと言っていいほど端に三角形のギザギザがありますよね。

もちろん切れ込みは袋を開けやすくするためではありますが、なぜ開けやすくなるのでしょうか。

今回はこの切れ込みが開けやすさに繋がる理由について解説したいと思います。

切れやすくなる原理

袋が切れやすくなる理由としては、応力集中という現象が発生しているためです

この現象は、文字通り「応力」が一点に集中することを指しています。

応力とは、物体を変形させようとする力のことを指しますが、詳しくは以下の記事で紹介しています。

応力集中

例えば、きれいな紙を切るときを考えてみましょう。

紙の隣り合う角を持って、左右に引っ張った場合、意外と切れないと思います。

では次に、角と角の間に1mmほど垂直に切れ込みを入れてみた場合はどうでしょうか。

同じように左右に引っ張った場合、切れ込みの部分から簡単に切れてしまうと思います。

これが応力集中という現象です。

力は角などの鋭い部分に集中しやすく、簡単に亀裂が発生してしまいます

応力集中が使われている例

実は応力集中という現象は、身の回りでもよく使用されています。

ティッシュ箱のミシン目

f:id:karasu_16:20211225162047j:plain

新品のティッシュ箱を開けるとき、まずミシン目部分を押して開けますよね。

このときも応力集中が発生しています。

ミシン目とミシン目の間に力が集中しやすく、硬めの材料でも亀裂が入るよう設計されています。

そのため、人の手でも簡単に開封できるようになっています。

ピザの切り分け

f:id:karasu_16:20211225162317j:plain

ピザを切り分けるとき、専用のナイフで切れ目を入れてから、手で千切って食べると思います。

これは手で簡単に千切りやすいよう、切れ込みを入れています。

応力集中は紙や金属だけに適用されるわけではなく、様々な材料にも適用されています。

玉子のひび割れ

f:id:karasu_16:20211225165037j:plain

玉子の殻を割るときにも応力集中が使われています。

玉子を割るときには、まずヒビを入れることから始めますよね。

ここで亀裂を作って、応力を集中しやすくしています。

そのため軽い力でも簡単に玉子の殻を割ることができるという原理です。

機械系設計者が気を付けること

機械系の設計者としては、応力が集中しないように気を付けることが必要です。

具体的には、次の2点が代表例として挙げられると思います。

部品の角の構造

面取りの有無の例

具体的な対策方法としては、力がかかる部品にY字やL字の構造を作らないという点が挙げられます。

応力は角部分に集中しやすいという特徴があるので、鋭い形状は作らない事が理想です。

もし作らなくてはならない場合は、角部分に緩やかな面取りを行って、応力集中を軽減するという方法もあります。

面取りについては以下の記事で解説しています。

ねじの応力集中

鋭い形状の代表例として、ねじが挙げられます。

あらゆる場面で見かけるねじですが、実はねじのような小さな部分にも応力集中してしまいます。

ねじ断面イメージ

例えば上記の図のように赤い矢印の部分に集中して力を加えると、青い部分に亀裂が発生してしまいます。

ねじの谷の部分に応力集中して、割れるという事故も考えられますので、ねじをピンのように力を加えて使用することはやめましょう

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は袋の切れ込みと応力集中について紹介してきました。

まとめると以下のようになります。

まとめ
  • 袋が切れ込みによって切れやすくなるのは、応力集中のため
  • 応力集中は鋭い角の部分で発生しやすい
  • 力がかかる部分は、部品の形状や力のかかり方に注意して設計する
関連記事