主応力とフォンミーゼス応力の使い分け【材料力学の基礎解説】
皆さんは設計しているときに主応力やフォンミーゼス応力といった言葉を聞いたことがありますか。
機械設計やCAE解析をしていると見かける応力ですが、どのように違うのでしょうか。
今回は主応力とフォンミーゼス応力の違いについて解説していきたいと思います。
主応力とは?

主応力とは、ある材料の応力状態を考えるとき、特定方向に沿った最大/最小の引張/圧縮応力を指します。
3次元では以下の3つが主に使われます。
- $σ_1$:最大主応力
- $σ_2$:中間主応力
- $σ_3$:最小主応力
フォンミーゼス応力とは?

フォンミーゼス応力は、複雑な応力状態を1つの等価応力に換算した値です。
材料の降伏条件を評価するための尺度として用いられ、特に延性材料の降伏を予測するときに使用されることが多いです。
フォンミーゼス応力は、主応力を用いて、以下の式によって求めることができます。
$σ_v=\sqrt{\dfrac{(σ_1-σ_2)^2+(σ_2-σ_3)^2+(σ_3-σ_1)^2}{2}}$
$σ_v$:フォンミーゼス応力[Pa]
CAEで表示される応力は、このフォンミーゼス応力であることが多いです。
延性材料とフォンミーゼス応力の関係
鉄などの材料は、破壊する前に延性破壊します。
しかしこの破壊は、一方向の引張だけでなく、ねじりでも降伏することが分かっています。
つまり、色々な方向からの力の組み合わせで変形し、破壊に至ります。
そのため、延性材料では、主応力の組み合わせで判断するフォンミーゼス応力を用いることが多いです。
脆性材料と主応力の関係
ガラスなどの脆性材料は、強く引っ張られた部分から割れていきます。
そのため脆性材料で重要なのは、最も大きい引張応力の値です。
そのため、各方向からの応力を考慮するフォンミーゼス応力より、主応力を用いられることが多いです。
どちらの応力を使用するか
ある部品で、最大主応力:100[MPa]、フォンミーゼス応力:170[MPa]という結果が得られたとします。
この部品がどのような材料かによって変わります。
例えば、延性材料の鉄(降伏応力150[MPa])の場合、フォンミーゼス応力以下のため、変形し始めます。
一方で脆性材料のガラス(引張強さ200[MPa])の場合、主応力の100[MPa]以下のため、まだ破壊されません。
このように、どちらの性質の材料を用いるかによって判断が変わってきます。
つまり、鉄やアルミなどの延性材料はフォンミーゼス応力、ガラスやセラミックなどの脆性材料は主応力を用いて判断します。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は主応力とフォンミーゼス応力の使い分けについて解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 主応力とは、特定の方向に沿った応力を指す
- フォンミーゼス応力とは、複雑な応力状態を1つの等価応力に換算した値を指す
- 脆性材料か延性材料かで使用する応力を使い分ける
