皆さんは定尺という言葉を聞いたことがありますか。
機械設計者の方でも、場合によっては聞き馴染みがないかもしれません。
今回は機械工学で用いる定尺について解説していきたいと思います。
定尺とは?
定尺とは、決まったサイズの部材のことを指します。
例えば、ホームセンターに行くと木材が売られていると思います。
木材には色々な種類があると思いますが、大きさはある程度決まっていますよね。
自分の理想の形状が欲しければ、ノコギリで切っていくしかありません。
機械工学で用いる部材も同じで、元々の部材の大きさは決まっています。
板金であれば、必要な部分をくり抜いたり、円柱材・角材であれば必要な分だけ切り取って使うという方法が使われています。
定尺を用いるメリット
定尺を用いる一番のメリットは、コストダウンできるという点になります。
例えば、定尺を使わない場合を考えてみましょう。
一辺10mmの立方体のブロックが定尺として存在していたとします。
ここで1辺8mmのブロックを使いたいとなった場合、どうしますか?
恐らく10mmのブロックを切ったり削ったりして、一辺8mmのブロックを作ると思います。
すると残りの各辺2mmの部分は無駄になってしまいますよね。
また、切ったり削ったりするには時間もかかってしまいます。
他の方に任せるにしても、お金がかかってしまいますね。
もし最初から10mmの立方体のブロックを使うとしたらどうでしょう?
ただ買ってくるだけで、時間もお金もかかりませんよね。
このように、定尺のまま使えるように設計することがコストダウンに繋がります。
定尺を用いるデメリット
定尺を用いるデメリットは、形状が制約されてしまうことにあります。
例えば、定尺の高さが5mmと6mmの角材があったとします。
このとき、欲しい高さが5.5mmの場合はどうしますか?
当然、妥協して5mmもしくは6mmの角材を使うという選択肢もあります。
多い方法としては、6mmの角材を用いて、0.5mm分削って使用するということになります。
この場合はコストが上がってしまうので定尺のメリットが活かせない例となります。
板金の定尺
では定尺にはどんなものがあるのでしょうか。
板金材料を例に見ていきましょう。
縦横長さの定尺
板金の場合、縦横の寸法が決められた板として購入します。
板の大きさは材料によって決められており、以下のものが一般的です。
厚みの定尺
板金は厚みについても定尺が決まっています。
ここで、SPCC(鉄系)、SUS304(ステンレス系)、A5052(アルミ系)材料の3つを例として、定尺の厚さをまとめると、以下の表のようになります。
ただし、いくら定尺だとしても、需要の多いもの、少ないものがあります。
板金加工メーカーに取り扱いがあるか、コストは高くないかを確認して使うようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は定尺について紹介してきました。
まとめると以下のようになります。
定尺とは、決まった大きさのことを指す
定尺を使うことのメリットはコストダウン、デメリットは大きさの制約がある
いくら定尺でも、取り扱っているかの確認が必要