レイノルズ数と熱伝達の関係とは?【伝熱工学の基礎解説】
伝熱の設計をすると、流速を上げるとどのくらい冷えるのか、を考える場面がよくあります。
そのときに重要となる値がレイノルズ数です。
レイノルズ数は流れの状態を表す無次元数で、熱伝達に影響しています。
今回は、レイノルズ数と熱伝達の関係について解説していきたいと思います。
レイノルズ数とは?
レイノルズ数とは、流れが「なめらか(層流)」か「乱れている(乱流)」かを判断する指標です。
数式だと以下のように表されます。
$Re=\dfrac{ρvL}{μ}$・・・①
$=\dfrac{vL}{ν}$
$Re$:レイノルズ数
$ρ$:流体の密度[kg/m3]
$v$:流体の流速[m/s]
$L$:代表長さ[m]
$μ$:流体の粘度[Pa・s]
$ν$:流体の動粘度[m2/s]
レイノルズ数の分子は慣性力、分母は粘性力を表しています。
つまりレイノルズ数の値が大きいほど、慣性力が支配的になり、流れが乱れやすくなります。
層流と乱流
層流とは、流体が相乗に滑らかに流れることを指し、乱流とは、流体が激しく混合する流れのことを指します。
例えば、円管流れの中では、以下のような分類です。
| 流れ | レイノルズ数 |
|---|---|
| 層流 | $Re$<2300 |
| 遷移域 | 2300<$Re$<4000 |
| 乱流 | 4000<$Re$ |
伝熱の面から考えると、流体は乱流の方が熱が運ばれやすく、熱伝達率が高くなる傾向があります。
なぜ乱流になると熱が伝わりやすいのか

物体に熱が発生すると、物体と空気の間に温度境界層が生成されます。
層流の場合は、この温度境界層が厚くなるため、熱は熱伝導での移動が大きくなります。
しかし乱流の場合は、渦による混合が発生するため、温度境界層が薄くなります。
熱伝達と熱伝導の関係
熱伝達と熱伝導の関係はヌセルト数で表されます。
$Nu=\dfrac{hL}{k}$
$Nu$:ヌセルト数
$h$:熱伝達率[W/m2K]
$L$:代表長さ[m]
$k$:流体の熱伝導率[W/mK]
このヌセルト数は対流の熱と静止した熱伝導率のどちらが強いかを示す指標です。
ヌセルト数が1より大きいとき、対流が発生し、熱が移動することになります。
代表的な相関
ヌセルト数は層流と乱流で異なる値を示します。
例えば、円管流れの場合、以下のような式で表されます。
層流の場合
$Nu≒3.66$
乱流の場合
$Nu=0.023Re^{0.8}Pr^{0.4}$
$Pr$:プラントル数
つまり、乱流の場合、ヌセルト数はレイノルズ数の0.8乗に比例します。
レイノルズ数が大きくなるほど、熱伝達率も大きくなるということ指しています。
流速と熱伝達率の関係
レイノルズ数の数式から考えると、流速を大きくするとレイノルズ数も大きくなります。
そしてヌセルト数はレイノルズ数の0.8乗に比例するという点から考えると、流速の0.8乗に比例して熱伝達率も大きくなることが分かります。
例えば、流速が2倍になると、熱伝達率で約1.7倍となります。
つまり流速を上げれば、その分だけ熱伝達率も大きくなりますが、一方で振動や騒音の増加などのデメリットも存在します。
温度だけでなく、他の要素も考慮して、適切な流速を選択することが重要です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はレイノルズ数と熱伝達率の関係について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- レイノルズ数とは、流体の慣性力と粘性力を比較したもの
- 円管流れの乱流の場合、流速が2倍になると、熱伝達率は約1.7倍となる
- 温度影響だけでなく、デメリットもあわせて流速を最適化することが重要
