疲労強度と疲労限度の違い【疲労設計の基礎解説】
機械部品の破壊の原因として多いのが、疲労破壊です。
静的には十分な強度を持っているはずの部品が、繰り返し荷重によって突然破断する、ということもあり得ます。
今回は、疲労強度・疲労限度についての考え方とS-N曲線の読み方について解説していきます。
疲労強度とは?
疲労強度とは、材料が繰り返し応力を受けたときに、破壊せずに耐えられる強さを表す指標です。
例えば、引張試験で得られた「引張強さ」や「降伏点」は一度だけ荷重をかけた場合の強度を示しています。
しかし実際の機械部品では、以下のような場合が発生します。
- 回転軸にかかる曲げ応力
- 歯車のかみ合いによる周期荷重
- 振動による応力変動
このような場合は引張強さよりも、はるかに低い応力で破壊が生じます。
疲労破壊の特徴
疲労破壊には以下のような特徴があります。
- 目立った塑性変形がない
- ある回数までは問題なく使える
- ある時間に突然破壊する
つまり、破壊が起こる直前まで気付かないことが多いです。
また、破断面を観察すると、亀裂発生部、亀裂進展部、最終破断部と段階を経ていることが分かります。
疲労限度とは?
疲労限度とは、無限回繰り返し応力を与えても破壊しない最大応力のことを指します。
ただし、実際に無限回与えることはできないので、$10^7$回程度を持ちいることが多いです。
特に鉄鋼材料では、この疲労限度を用いて評価することが多いです。
疲労限度を持たない材料
一方で、アルミニウム合金や銅合金のような非鉄金属では、明確な疲労限度が現れません。
そのため、$10^7$回での疲労限度、といった回数を指定した疲労強度を用いて設計します。
S-N曲線
S-N曲線の概要
S-N曲線は、縦軸に応力振幅、横軸に破断までの繰り返し回数を表したグラフです。
このときの縦軸の応力は、完全両振り応力で得られた結果となります。
以下のようなグラフを指します。

この場合は、繰り返し回数が何回であっても、$σ$[Pa]以下の応力振幅であれば、疲労破壊が起こらない、ということを指しています。
S-N曲線の読み方
まず、設計対象部品にかかる応力振幅を求めます。
そのあと、材料のS-N曲線上で、応力振幅と交わる点を探します。
そこから横軸に記載されている、破断までの繰り返し回数を求めます。
この手順によって求めた繰り返し回数が、実際に使用する回数を上回っていたら、疲労破壊する可能性は低いと判断できます。
逆に使用回数から、応力振幅を判断する、という使い方も可能です。
実設計で考慮するポイント
実設計では、以下に記載されているような状況を考慮する必要があります。
応力集中の影響
疲労破壊は、段差やキー溝のような応力集中部分に発生することがあります。
この場合は応力集中係数を考慮した最大応力にて評価することが重要です。
表面状態の影響
疲労強度は、表面粗さ、傷、表面処理状況によって大きく変わります。
表面起点で疲労破壊が発生することもあるので、表面品質は重要となります。
安全率の考え方
疲労設計では、材料のばらつきや製造誤差の影響を受けます。
静的強度よりも大きめの安全率を取ることが必要です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は疲労設計について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
まとめ
- 疲労強度とは、材料が繰り返し応力を受けたときに、破壊せずに耐えられる強さを表す指標を指す。
- 疲労限度とは、無限回繰り返し応力を与えても破壊しない最大応力のことを指す。
- 実設計では、応力集中、表面状態、安全率に注意する。





