皆さんは板金でバーリング加工というものをご存じでしょうか。
板金で設計を行う上では基本の考え方の1つになります。
今回はバーリング加工について解説していきたいと思います。
そもそもバーリングとは?
バーリングとは、板金に穴を開けて、引き延ばす加工のことを指しています。
板金の絞り加工の一種になります。
板金加工については以下の記事で解説しています。
バーリングで引き延ばした板金の中に、さらにタップ加工をして、めねじを生成することもあります。
バーリングでタップ加工を行う理由
ここまで読んでいただいた方の中には、
バーリングをせずに、直接穴を開けてねじを切ればいいのではないか?
と考えたかもしれません。
しかし、実際にはねじを開けて良いケースとバーリングが必要なケースがあります。
例えば、厚さ1mmの板金を考えてみましょう。
このとき、M5の並目ねじのめねじはどのくらい加工することができるでしょうか?
M5のねじのピッチは0.8mmなので、わずか1と1/4周と程度しか加工できません。
これではねじで固定できるか不安ですよね。
そこで、あらかじめバーリング加工で引き延ばしておくことで、ねじ加工できる範囲を増やすことができます。
バーリングタップ加工とナットの違い
板金にねじを切る以外にも、めねじを設置する方法として、ナットを取り付ける方法があると思います。
ナット取付の場合
2つの物体をねじで固定するとき、めねじが無ければナットで固定するという方法が最も一般的かと思います。
しかしナット固定の場合、組み立て時にナットとねじを同時に回して締め付けるという特性上、組み立てが大変になるという欠点があります。
そのため、作業者の負担を減らすためにも、板金側にめねじを加工しておく方が親切な設計になります。
圧入ナット取付の場合
最近では、ナットを板金に直接取り付けるという方法もあります。
当然ナットを固定してしまえば、固定しにくいという問題も解消されますので、一見すると板金に直接ねじを切れない場合の代替手段としては、最適解のように思います。
しかし次の2点は注意しておかなければなりません。
1つが加工の制約、もう1つがコストの増加になります。
板金にナットを圧入するという加工の特性上、ナットの周囲にはある程度のスペースが必要になります。
コストについては、当然ナットを購入しなければならないので、その分コストが増加してしまいます。
このようにバーリングでタップ加工を行うことで、ナット取付よりも加工の手間やコストを減らすことが可能です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はバーリング加工について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- バーリングとは、板金の引き延ばし加工の一種
- バーリングを使うことで、薄い板金でもめねじ加工が可能
- ナットを使うよりも手間やコストを減らすことができる