皆さんは負圧という言葉を聞いたことがありますか?
一般的な圧力とどう違うのでしょうか。
今回は負圧の影響について解説していきたいと思います。
そもそも負圧とは?
負圧とは、周囲よりも圧力が低い状態のことを指します。
例えば、家で考えてみましょう。
家の中が$1000hPa$、一方で家の外が$1020hPa$の場合、家の中が負圧になっている状態と言えます。
このとき、家の外の方が圧力が高いので、外から家の中に風が吹き込む状態になります。
もちろん家だけでなく、箱状の製品と、製品周囲の空気で考えても負圧の関係になることがあります。
負圧が起こる原因
負圧は、箱状の製品内の圧力が下がると発生します。
具体的には、以下の気体の状態方程式から考えてみましょう。
$PV=nRT$
$P$:気体の圧力[$Pa$]
$V$:気体の体積[$m^3$]
$n$:気体の物質量[$mol$]
$R$:気体定数[$J/(K・mol)$]
$T$:気体の絶対温度[$K$]
この式を見ると、気体定数$R$は一定なので、圧力が下がる要因としては、体積$V$が大きくなるか、気体の物質量$n$または気体の絶対温度$T$が小さくなるのどちらかです。
ただし、通常の製品を考えると、体積や物質量が変化する状況はあまり多くないと思います。
よって負圧が発生する原因としては、製品内の空気温度が下がることによって発生することが多いです。
具体例として、公園などの屋外に固定している箱型の機械があります。
この機械は雨や雪が降ることによって、機械内部が冷やされて、負圧になってしまいます。
負圧による悪影響
それでは負圧による悪影響を考えてみます。
製品のへこみ
製品内部の圧力が弱くなるということは、外から押される圧力が強くなるということを指しています。
つまり気圧によって製品が内側にへこんでしまいます。
特にプラスチックなどの強度の低い部品を使っているときは注意しましょう。
製品内への埃の流入
風は圧力高い位置から低い位置に吹くことが知られています。
このとき隙間があると、製品内部の圧力が低いことで、外から製品内へ風が吹き込む状態となります。
風だけであれば良くても、埃や小さなゴミなども一緒に流入してしまいます。
このことによって、製品内の電気部品に付着して、最悪発火してしまうかもしれません。
負圧の対策法
負圧になると事故に繋がってしまう可能性があるということは分かったと思います。
では、どうすれば対策できるのでしょうか。
主な対策を2点紹介します。
製品が冷える事を防ぐ
前述の通り、製品が冷えることが、圧力の下がる主な原因となっています。
つまり、冷えることが防げれば負圧の発生を防げます。
具体的には、雨除けを設置したり、断熱構造にすることで、中の空気温度を一定に保つことができます。
ベントを設置する
製品の都合でどうしても空気が冷えてしまうことがあると思います。
そんなときは圧力調整機構を設けてみることも一つの手段です。
具体的には以下のようなベントフィルターが挙げられます。
この製品は内圧と外気圧力の差によって、隙間が生じることで圧力を調整できます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は負圧の影響について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 負圧とは、周囲よりも圧力が低いことを指す
- 負圧が発生すると、へこみや埃の流入という問題となり得る
- 対策としては、温度の一定化や圧力調整機構が考えられる