皆さんは風船をどこまで大きくできるかを考えたことはありますか?
少し空気を入れすぎると、簡単に割れてしまう印象があると思います。
今回は材料力学的に解説していきたいと思います。
風船を大きくするメリット
風船に発生する浮力は体積に比例して大きくなります。
つまり大きな風船ほど、大きな浮力を得ることができるため、可能なら大きくしたいと思います。
ちなみに風船の浮力については、以下の記事で解説してます。
前提条件
今回の検討では、風船は薄肉球殻と仮定し、中には気体を入れて、球を外に広げるような力が発生すると考えます。
このとき内部空気の圧力によって、風船を引き延ばすような応力が発生します。
材料の引張応力を超えると破裂してしまいますので、引張応力を超えない圧力で検討します。
計算式
薄肉球殻の場合、材料に生じる圧力は以下の式で表されます。
$σ=\dfrac{P・r}{2t}$
$σ$:周方向にかかる圧力[$Pa$]
$P$:風船の内圧[$Pa$]
$r$:風船の半径[$m$]
$t$:風船の厚さ[$m$]
今回は、材料は天然ゴムを採用し、引張強さ$18.6MPa$を限界値と定めます。
本来であれば安全率を考慮しますが、今回は安全率1として破断するギリギリを考えることとします。
数式から判断すると、直径を大きくするためには材料の引張強さの他に、内圧と厚さの2つによって決まることになります。
ちなみに安全率については、以下の記事で解説しています。
厚さと直径の関係
風船の内圧を$10,000Pa$(=$0.01MPa$)と仮定したとき、風船の厚みをと直径の関係を以下のグラフに示します。
縦軸が風船の直径[$cm$]を、横軸が風船の厚さ[$mm$]を表しています。
結果を見ると、厚さを大きくすると、比例して風船を大きくすることができます。
これは純粋に、風船自体の強度が大きくなることで強度が大きくなるためと考えられます。
内圧と直径の関係
次に風船の厚さを$0.05mm$と仮定したとき、風船の内圧と直径の関係を以下のグラフに示します。
縦軸が風船の直径[$cm$]を、横軸が風船の内圧[$MPa$]を表しています。
この結果を見ると、風船の直径と内圧は反比例の関係にあることが分かります。
つまり圧力を大きくすると、破裂しやすくなるため低めの圧力で風船を膨らませることが重要です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は風船の大きさについて解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 風船の大きさは、材料・内圧・厚さによって決まる
- 厚さを大きくするほど、大きな風船を作れる
- 内圧は小さい方が破裂しにくい