皆さんはヤング率やポアソン比という言葉を聞いたことがありますか。
材料力学の世界では、材料の特性を決定する代表的な値になります。
今回はこのヤング率とポアソン比について解説していきたいと思います。
ヤング率(縦弾性係数)
ヤング率は縦弾性係数とも呼ばれることがあります。
文字としては$E$で表されることが多いです。
ヤング率の前に、皆さんはフックの法則はご存じでしょうか。
学生時代に理科の授業で習ったことがあるかもしれません。
ばねにかかる荷重と、ばねの伸びに関する法則です。
数式で表すと以下の式になります。
$F=k・x$
$F$:ばねにかかる荷重[$N$]
$k$:ばね定数[$N/m$]
$x$:ばねの伸び[$m$]
このような荷重と伸びの関係が金属にも存在します。
理科では延性という言葉で習ったかもしれません。
金属の伸びの関係を数式で表すと、以下のようになります。
$σ=E・ε$
$σ$:金属に発生する応力[$N/mm^2$]
$E$:ヤング率[$N/mm^2$]
$ε$:金属のひずみ
つまり、ヤング率というものは、金属におけるばね定数のようなものです。
(厳密には、荷重と応力では単位が異なるので、全く同じ関係ではありません)
横弾性係数(せん断弾性係数)
縦弾性係数という名称を聞いたとき、縦があるなら横はないのか、と思った方もいるのではないでしょうか。
もちろん横弾性係数もあります。
せん断弾性係数と呼ばれることもあります。
文字としては$G$で表されることが多いです。
では、縦と横でどのような違いがあるのでしょうか。
横弾性係数は、圧縮や引張、曲げ方向の荷重を与えた場合において、ばね定数のような役割を示していました。
縦弾性係数は、せん断方向の荷重を与えた場合において、ばね定数の役割を持っています。
数式で表すと以下のようになります。
$τ=G・γ$
$τ$:金属に発生するせん断応力[$N/mm^2$]
$G$:横弾性係数[$N/mm^2$]
$γ$:金属のせん断ひずみ
横弾性係数はねじりを考慮するときにも用いられます。
ポアソン比
ここで縦弾性係数と横弾性係数の二つがありますが、関係がないのか、と思われたかもしれません。
もちろん関係はあります。
この二つの弾性係数を結び付けるものがポアソン比という値になります。
数式で表すと以下のようになります。
$ν=(E-2G)/2G$
$ν$:ポアソン比
このポアソン比は$0<ν<0.5$であり、大きいほど変形しやすい性質を持っています。
以下に代表的なポアソン比の例を示します。
このグラフのように、ゴムのような柔らかく変形しやすい性質を持つものはポアソン比が大きくなり、逆にガラスのような硬く変形しにくいものはポアソン比が小さくなりやすい傾向があります。
参考元
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は弾性係数とポアソン比について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 弾性係数はフックの法則の伸びやすさのような役割
- 圧縮・引張や曲げには縦弾性係数、せん断には横弾性係数を用いる
- 弾性係数にはポアソン比によって関係づけられている