突然ですが皆さんは門のような場所を通ったことはありますか。
門でなければ、橋でも、鉄橋でも、四角型でくぐれるものなら何でもかまいません。
このような門を通るときに、急な風に吹かれてしまい、せっかく時間をかけてせっとした髪型が崩れてしまった。。。
なんてことはありませんか。
しかし実は門を通るときに、急に風が強くなることは自然なことだったのです。
今回は流体力学の観点から解説してみたいと思います。
連続の式
流体力学には連続の式と呼ばれる式があります。
これは、ある流れがある空間で入っていく流量と出ていく流量は一定であるということを表しています。
例えば、パイプの中に毎分1Lで水を入れていった場合、出ていく流量も1Lになります。
でもよく考えるとおかしいですよね。
シャワーや噴水のように水の出口を細く絞った場合、ものすごい勢いで水が噴き出すという現象を誰もが経験したことがあると思います。
とても同じ流量であるとは思えませんね。
しかし、これは流量ではなく、流速が大きくなっているために、強く水が噴き出しています。
連続の式を図と数式で表すと、以下のようになります。
$Q=A1・v1=A2・v2$
$Q$:流入(流出)する水の流量[$m^3/s$]
$A1$:入っていく流体の面積[$m^2$]
$v1$:入っていく流体の流速[$m/s$]
$A2$:出ていく流体の面積[$m^2$]
$v2$:出ていく流体の流速[$m/s$]
この式を考えていきます。
例えば、入っていく水の面積と流速が一定の場合、出ていく水の面積を大きくすると出ていく水の流速は大きくなります。
つまり水道の出口を細く絞った場合、ものすごい勢いで水が噴き出すという現象は、連続の式的には理にかなった現象になります。
そもそも流体とは?
流体とは、流れていく性質を持つ物体のことを指します。
ざっくりいってしまうと、気体・液体のことです。
水や空気だけでなく、融かした金属やプラスチック、歯磨き粉や蜂蜜なども流体と呼びます。
流体であれば、前項で説明した連続の式を適用することができます。
門を通るときの状況
ここで門を通るときの状況を考えてみます。
門の前後を簡易的に表すと以下の図のようになります。
門の高さを$6m$、幅を$4m$とします。
門の人が通る部分の面積は、高さ$3m$、幅$2m$と仮定すると、$6m^2$となります。
ここで門に対して風速$1m/s$の風が吹いたとします。
このとき空気の入る面積は$6m$×$4m$=$24m^2$
つまり門に向かって入る空気の流入流量は$24m^2$×$1m/s$=$24m^3/s$
一方で門の人が通る部分の面積は$6m^2$だったので、流速を$v2$とすると、
流出流量は$6・v2m^3/s$になります。
連続の式より、流入流量と流出流量が等しいので、
$24m^3/s$=$6・v2m^3/s$
よって$v2$=$4m/s$となります。
いかがでしょうか。
大きさは全て仮定でしたが、門から離れたところでは1[m/s]の風でも、門を通る時だけは4[m/s]になり、およそ4倍の風速です。
これの結果であれば、門を通る時だけ急に風が吹くように感じても、不思議ではないですよね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は門を通る突風について考察してきました。
これから門を通るときには注意してみてはいかがでしょうか。
まとめると以下のようになります。
- 門を通るときの風速は、流体力学の連続の式によって決まる
- 流体とは気体や液体のことを指す
- 通れる断面積が小さいほど、流速は大きくなる