皆さんは安全設計という言葉を聞いたことがありますか?
単純に捉えれば、安全に配慮した設計をすることになりますが、どのようなことに注意すればいいのでしょうか。
今回は安全設計で用いる対策手法について解説していきたいと思います。
安全とは?
安全とは、受容できないリスクがないことを指します。
例えば、普段からよく触るパソコンのキーボードのキーにバリがあったらどうでしょうか?
使用者から見るとキーを押すたびに指を傷つけてしまいます。
このようなバリは”受容できない”ということになります。
対策として、キーの端は丸くなるよう面取りをしていくという方法が考えられます。
このように使用時のリスクを低減するため、設計段階から安全について考慮しておく必要があります。
安全対策の手法
機械が安全に動作するような対策手法には、大きく分けて次の5つの方法があります。
フールプルーフ
フールプルーフとは、間違った操作をしても壊れないように設計することを指します。
例えば、駅の券売機で間違ったボタンを押しても反応しないようにする、という対策が当てはまります。
ボタンを押し間違える度にエラーが発生していたら、保守員の方の作業も増えてしまいます。
フールプルーフは安全性だけでなく、トータルコストの面でも優位になることがあります。
セーフライフ
セーフライフとは、製品の寿命内で故障しないよう設計することを指しています。
どんな機械でも、時間が経ってしまえば老朽化して壊れてしまいます。
ただし、故障する前に新しい製品に取り換えてしまえば、危険な動作を防ぐことができます。
フェールセーフ
フェールセーフとは、製品の一部が壊れても故障しない、もしくは壊れても安全側になるよう設計することを指しています。
例えば、電化製品に大量の水をこぼしたりしたり、水没させてしまった場合、故障して動かなくなってしまうと思います。
これは機械の中で通常以上の大きい電流が流れたら、回路を切って発火を防ぐような仕掛けが入っているためです。
このように想定外の事故が起こった場合でも、発火のような危険が起こらないようにする考えをフェールセーフと呼びます。
ダメージトレランス
ダメージトレランスとは、致命的なミスをしても許容できるよう設計することを指します。
例えば、高速道路の支柱は多少の傷やひび割れがあったとしても、全体が崩れるようなことにはなりません。
これは十分に安全率を大きくして、強度を保っているためです。
ただし、ダメージトレランスを適用する場合は、適切な期間でのメンテナンスが必要となります。
レベルダウン
レベルダウンとは、トラブルの発生頻度や影響を抑える事を指します。
例えば、工作機械のスタート・ストップのボタンを間違えないよう、ボタンの色を変える、近くにボタンの名前を書いておくなどが挙げられます。
マニュアルに書いておくという方法も対策の一つです。
ただし、このレベルダウンは本質的に安全を保障するのではなく、確率を下げるという方針なので、事前に顧客などの関係者に了承を得ることが必要となります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は安全設計について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 安全とは、許容できないリスクがないことを指す
- 設計段階から、リスクを低減する方法を考慮しておく
- レベルダウン手法の適用は、事前に関係者と整合しておく必要がある