皆さんは”金型”という物をご存じでしょうか。
機械設計の世界では、量産品時に金型を作って対応するということがあります。
今回は金型について設計の観点で説明したいと思います。
金型とは?
金型とは、文字通り金属の型になります。
少し複雑なので、料理で例えてみます。
クッキーを生地からくり抜くときを考えてみましょう。
四角い形や三角形の形のクッキーであれば、ある程度器用な方なら容易に作成できるかもしれません。
しかし丸い形やハート形ではどうでしょう?
道具を使わずに丸やハートの形をくり抜くことは難しいと思います。
そこで実際には、型を使ってくり抜いていくという手段が採用されます。
このように型を使うことで、同じ形のクッキーを誰でも、容易に、大量に作ることができます。
機械設計でも同じで、同じような形状を形作るときには、型があると容易に大量生産できます。
この型のことを金型と呼んでいます。
金型の種類
金型と言っても、用途や材質など細かく分ければ色々な種類があります。
今回は代表的な板金用抜き金型と成型品用金型の2つについて説明します。
板金用抜き金型
板金用抜き金型とは、板金に対して圧力をかけて、必要な形を打ち出すための型のことを指します。
板金を加工する場合、まず板金から不要な部分の形状をくり抜いてから加工します。
このとき、複雑な形状であるほど、くり抜く工程に時間がかかってしまいます。
そのため板金用金型を作成して、欲しい形状を次々に作り出していきます。
前述のクッキーの形を作る場合に似ています。
ちなみに板金の加工方法については、以下の記事で解説しています。
成型品用金型
成型品用金型とは、中に高温に融かしたプラスチックを入れて、冷やした後に必要な形を取り出すための型を指します。
こちら料理で例えると、チョコレートを作るときに似ています。
チョコレートを作るときに、融かしたチョコレートを型に流し込んで冷やすという工程があると思います。
機械設計の場合でも、チョコレートと同じようにプラスチックを融かして型に入れて冷やすことで、形を作ります。
このときに流し入れる型が金型です。
金型を使うメリット
金型を使う場合、最もメリットとなるのはコストを削減できるという点です。
部品のコストというものは、加工する時間が長いほど高くなります。
加工者の時給や、設備のランニングコストがかかっているので、当たり前ですよね。
金型を使うことで、複雑な形状だったとしても、同じ製品が同じ品質で短時間で作れます。
そのためコスト低減につながるという理由です。
ただし、金型を導入する場合、初期費用が数十万円~数百万円かかるので、量産することで初期費用を回収できるのか、という点の検討は必要になります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は機械設計で使う金型について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 金型とは、量産加工時に使用する金属の型のこと
- 金型を使うことで、短時間での量産が可能
- 導入する場合、初期費用分を回収できるかという検討が必要