固有値解析の活用法とは?【機械力学の基礎解説】
皆さんはCAE解析を使っていますか?
解析の中には固有値解析と呼ばれるものがありますが、結局何に使うのでしょうか?
今回は設計者の視点から、固有値解析の役割、実務での使いどころなどを解説していきたいと思います。
固有値解析とは?
固有値解析とは、物体がどの周波数で共振しやすいかを調べる解析です。
具体的には固有振動数と振動モードを求めることができます。
固有振動数は、何Hzで共振するか、振動モードは、どんな形で揺れるかを表しています。
なぜ固有値解析が必要なのか
機械が共振すると、与えた振動よりもはるかに大きな振動となります。
最悪の場合、共振で壊れることもあります。
例えば、振動には以下のようなものがあります。
- モーターによる回転
- ファンの振動
- 地震による揺れ
これらの振動の周波数が、機械の固有振動数と一致すると、振動が増幅して破壊に至ります。
実務での使い方
ここからは、固有値解析を実務でどのように使用するかを解説していきます。
共振回避
例えば、回転機械の場合、モーターの回転数が3000rpmの場合を考えます。
このとき、モーターの周波数は以下の数式より、50Hzと分かります。
$f=\dfrac{N}{60}$
$f$:モーターの回転周波数[Hz]
$N$:モーターの回転数[rpm]
つまり、機械の固有振動数が50Hz付近にあると、共振が発生するため、対策が必要となります。
主に設計で可能な対策を以下にまとめました。
- 剛性を上げる
- 質量を変える
- 支持条件を見直す
- 防振材を用いる
このような対策によって、共振する周波数を外すことができます。
振動トラブルの原因特定
回転機械を使っていると、「ある製品だけ異音がする」とか「特定の回転数だけ音が大きくなる」ということがあります。
このようなトラブルの対策にも、固有値解析が活用できます。
どのモードが原因か、どの部分が大きく振動するかが分かるため、どこを直せばいいか、が分かります。
軽量化設計
部品を軽量化するとどうなるでしょうか?
多くの場合、軽量化することによって、剛性が大きく低下します。
剛性と固有振動数の関係は、以下の式で表されます。
$f=\dfrac{1}{2π}\sqrt{\dfrac{k}{m}}$
$f$:部品の固有振動数[Hz]
$k$:部品の剛性[N/m]
$m$:部品の質量[kg]
つまり剛性を下げると、固有振動数も小さくなるということが分かります。
もちろん、剛性の低下分よりも質量も下げることができれば固有振動数も上げることは可能です。
ただし、市販の機械材料を使用している場合では、剛性の方が低下するケースが多いです。
このようなときに、使用する固有振動数が危険領域に入っていないかを判断するために、固有値解析が必要となります。
よくあるミス
実際に固有値解析を行った場合、以下のようなミスがあります。
境界条件が不適当
固有値解析では、部品の辺や面を固定して解析を行います。
ただし、実際の部品はネジや溶接によって固定されていることが多いと思います。
この境界条件が異なることにより、実際と固有値が変わってきます。
1次モードしか検討しない
固有値解析の中には、1次モードだけでなく2次モードや3次モードまで算出することができるものもあります。
多くの場合は1次モードが最も危険なモードです。
しかし2次モードや3次モードも使用範囲内に入っていた場合、共振が発生してしまいます。
そのため、1次モード以外のモードも確認することが必要です。
実機とのずれを考えない
固有値解析は、3D上の理想状況で行った結果です。
境界条件の部分でも述べましたが、実際の固定形状と異なる固定位置となっているため、ずれが生じることがあります。
そのため、安全率を大きめに見積もっておくことが必要です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は固有値解析について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 固有値解析とは、物体がどの周波数で共振しやすいかを調べる解析を指す
- 実務では共振トラブルの回避や軽量化設計のために用いられる
- 解析結果は、実機とのずれや2次以降のモードにも注意する



