皆さんは衝撃荷重への対策を行っていますか。
装置を使っていると、落下や衝突など、急な衝撃荷重が発生する可能性があります。
今回は、衝撃荷重への対策方法について解説していきたいと思います。
衝撃荷重とは?
衝撃荷重とは、短時間に大きな力が加わる荷重のことを指します。
以下のような荷重が代表例になります。
- ハンマーで叩く瞬間
- 人や車両がぶつかる瞬間
- 機械が急停止する瞬間
- 装置が落下して地面にぶつかる瞬間
衝撃荷重は、静的荷重と異なり、力が時間的に急変化する荷重となります。
このような荷重が発生する場合は、特別な考慮が必要です。
衝撃荷重を考慮すべき理由
衝撃は瞬間的なエネルギーとして機械に伝わり、静荷重の数倍~数十倍の応力を発生させることがあります。
設計時に見落とすと、以下のようなリスクがあります。
- 部品の破断・塑性変形
- ボルトや溶接部の損傷
- 機械全体の安定性低下
- 長期的な疲労破壊の加速
どのリスクも、重大な危険に繋がることが分かると思います。
このような危険を発生させないためにも、衝撃荷重への考慮が必要となります。
衝撃荷重の基本式

(ただし、紐は伸びは考慮しない)
衝撃荷重の計算は、エネルギー保存則を利用するのが一般的です。
図のように長さ$L$[$m$]の棒に静荷重で$W$[$N$]の荷重が急が生じた場合、棒が受ける衝撃荷重は以下の式で求められます。
$F_衝=W(1+\sqrt{1+\dfrac{2h}{δ}})$
$F_衝$:棒が受ける衝撃荷重[$N$]
$W$:棒が受ける荷重[$N$]
$h$:物体を落とす高さ[$m$]
$δ$:棒の伸び[$m$]
この式を見ると、棒の伸び$δ$が小さいほど荷重を抑えられることが分かります。
つまり、ヤング率を大きくすることや、断面積・断面二次モーメントなどの形状を変えることで、衝撃荷重を抑えることができます。
また、伸びについては、以下の記事で紹介しています。
衝撃荷重の対策ポイント
衝撃荷重が発生した場合の対策ポイントとして、以下のような考えが挙げられます。
1.エネルギーを吸収させる
ゴムやばね、ダンパーなどを入れてエネルギーを吸収させます。
2.荷重を分散させる
固定点を複数設けるなど、1か所に荷重を集中させないようにします
3.安全率を十分に確保する
CAEなどの解析を行い、安全率を大きく見積もります
衝撃荷重の測定方法
衝撃荷重を測定するときは、荷重ではなく加速度を測定します。
その場合は加速度センサーを使用して計測します。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は衝撃荷重への対策について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 衝撃荷重は静荷重よりも大きい荷重を生じる
- 設計時はエネルギーから計算を行う
- 対策にはエネルギー吸収や荷重分散が有効