機械設計は、機械要素の設計から計測、試作など、さまざまな過程を経る複雑な仕事です。
最近は機械設計にもCAEを導入することが増えてきました。
今回は、機械設計で使用するCAEの基礎や役割、実際の活用方法について解説します。
CAEとは何か
CAEは「Computer Aided Engineering」の略です。
コンピュータを駆使して、強度・流体・発熱などを解析するツールの一種です。
これにより、設計の最適化が可能になります。
CAEが機械設計にもたらす役割

CAEの機械設計での役割には、主に以下のような利点があります。
- 設計修正の低減化
- 製品の品質向上
- コストの削減
- 最適化設計の実現
設計修正の低減化
製品化する前にCAE解析を行うことで、試作や設計でのミスを減らすことができます。
例えば、FANによる冷却を行う場合、想定通りの場所に風が流れていることを、試作前に確認することができます。
製品の品質向上
製品の使用条件にて事前に解析し、弱点を改善することで品質を向上させることが可能です。
例えば、最初に設計した形状にて強度解析を行い、強度が弱い部分を補強することができます。
コストの削減
実際の試験に使用する資源やコストを大きく削減できます。
例えば、飛行機のような大きい物を作る場合、小型の模型を複数回作って実験することがあります。
模型を作る前に、形状が妥当かを確認して、作る回数を減らすことができます。
最適化設計の実現
複数の設計案を作成して比較検討することで、最適な設計を探せます。
例えば、形状案を3パターン作ったとして、その中で最も強度の強い形状を選択するということができます。
実際の活用方法
機械設計で主に活用するCAEは3つあります。
強度解析
1つ目は強度解析です。
応力解析や静荷重解析と呼ばれることもあります。
荷重がかかる場合に、どの部分が弱いかを確認することができます。
以下の図のように、高負荷がかかる場所を赤い色、低負荷の場所を青色として表示します。

流体解析
2つ目は流体解析です。
車や飛行機の周囲の風の流れを可視化することができます。
流速の大きい場所が赤色、小さい場所が青色のように表されます。

熱伝導解析
3つ目は熱伝導解析です。
機械部品の熱の伝わり方を解析し、熱や温度の影響を確認することができます。
温度が高い場所が赤色、低い場所が青色として表示されます。

人気のCAEツール
CAEのソフトウェアには多くの選択肢があります。ここでは人気のツールを一部紹介します。
ANSYS: 多機能な分析ツールで、体力、流体、熱など広範囲に対応します。
SolidWorks Simulation: 簡単なUIで始めての人も利用しやすいツールです。
COMSOL Multiphysics: 複数分野をシミュレートした分析が可能です。
なお、CAEに使用するデータは3DCADでデータを作成します。
CADの操作方法については、以下のようなオンライン講座での学習がお勧めです。

まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は機械設計におけるCAEについて解説してきました。
CAEは機械設計を大きく変えるポテンシャルを持っています。これを活用することで、設計の質向上やコスト削減が実現できます。
まとめると以下のようになります。
- CAEとは。コンピュータを駆使して、強度・流体・発熱などを解析するツールのことを指す
- 機械設計でCAEを用いることで、設計を最適化することができる
- CAEとして代表的なものには、強度解析・流体解析・熱伝導解析などがある