皆さんはシールワッシャーという部品を使ったことはありますか?
通常のワッシャー(座金)を使う機会は多いと思いますが、防水や漏れ防止という観点でシールワッシャーを使った方が良い場面もあります。
今回はシールワッシャーの使い道について解説していきたいと思います。
そもそもシールとは?
シールとは隙間を塞ぐことを意味しています。
金属同士を組み合わせたとしても、間に微小な隙間ができてしまうため、水などの液体は間を通れてしまいます。
そのため、通常はシール材と呼ばれるゴムのような柔らかく密着できる材料を組み合わせることで、隙間を埋めています。
詳しくは以下の記事で説明しています。
シールできる原理は?
実はねじを締めても、間から液体が浸み込んでしまうこともあります。
前述の通り、座金と固定部分に微小な隙間が発生しているためです。
ところがシールワッシャーであればどうでしょうか?
ワッシャーの内側にゴムのような素材が付いているため、ねじを締め込むことでゴム部分が潰れてくれます。
結果としてワッシャーと固定部の間には隙間ができず、ねじ部分からの液体の流入・流出を防ぐことが可能になります。
ガスケットとの違いは?
ここまで読んで頂いたところ、「ガスケットを入れた方が良いのではないか?」と思われたかもしれません。
ところがガスケットとの違いは大きく2点あります。
構造変更の有無
例えば、O-リングのような部品を入れて防水する場合を考えてみましょう。
するとO-リングを入れるための溝が必要になると思います。
これから新規で作成する形状であれば良くても、今まで作っていた形状を変更するとなると、かなりの労力も時間も費用も必要になると思います。
ねじ部分のみの流入を防ぎたいのであれば、シールワッシャーを入れるだけで防ぐことが可能です。
このように大きな形状変更なく使用することができます。
固定する圧力の違い
大きいゴムを固定して防水する場合の注意点として、ゴムの反発で浮いてきてしまうことがあります。
特に複数のねじで締める場合、締める順番を考慮しないと、漏れが発生してしまうかもしれません。
しかしシールワッシャーであれば、1個1個のねじで防水するため全体が浮いてしまう恐れはありません。
シールワッシャーを使う注意点
シールワッシャーですが、使用する上での大きな注意点が2点ほどあります。
トルク管理が必要
通常のワッシャーと異なり、ねじの固定+ゴムの潰しの2つの力が必要なので、通常よりねじの締付トルクは大きくなります。
締付トルクの値を確認した上で使用しましょう。
経年劣化の影響
通常のガスケットは蓋の裏など装置の内側に搭載されるのに対し、シールワッシャーはねじの下など外側に近い部分に固定されることになります。
そのため、外気温の変化など影響を受けやすい状態にあります。
経年劣化によってゴム部分が傷ついたり、ねじが緩むと漏れが発生してしまいます。
経年劣化しても装置に問題ないかを確認してから使用しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はシールワッシャーについて解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- シールワッシャーはねじ部分からの液体の漏れ・侵入を防ぐ
- ガスケット等と比較すると、構造の面で有利になる
- 使用するときはトルク管理や経年劣化に注意が必要