皆さんは電食という現象をご存じでしょうか?
金属の材料を使ったことがある方なら聞いたことがあるかもしれません。
今回は電食について解説していきたいと思います。
電食とは?
金属が錆びるという現象は聞いたことがあると思います。
例を挙げると、雨に濡れたままの自転車を放置していたら、所々茶色っぽくなっている現象のことです。
これは自転車に使われている金属と、雨の水分が反応したために発生します。
通常の金属であれば、錆びが発生しないように、めっきなどの表面に処理を行っています。
鉄へのめっきについては、以下の記事で紹介しています。
電食という現象も、この錆びの一種です。
具体的には、異なる種類の金属を接触させた部分に、水分が付着すると発生する錆びのことを指します。
電食の原理
金属には、イオン化傾向という性質があります。
具体的には以下のようになっています。
左にいくほどイオンになりやすい、つまり錆びやすいということを指しています。
そして二種類の金属の位置が離れているほど電位差が大きくなります。
ここで二つの金属が接触している場合を考えます。
間に水分があるとどうでしょうか。
電位差があるため、イオン化傾向が大きい金属が溶け、イオン化傾向が小さい金属には腐食が発生します。
電食が発生する電位差
異なる金属を用いて水分があったとしても、電食が発生する場合と発生しない場合があります。
それは金属同士の電位差の違いにあります。
主な金属の電位差を以下の表に示します。
この表の値が0.35V以上の場合、電食が発生しやすいと言われています。
ただし厳密な値ではないため、異種金属を使用する場合は各自で評価を実施下さい。
電食を防ぐには?
電食は異なる金属を接触させたときに水分が間に入ることで発生する現象です。
そのため対策としては以下の3つの方法が考えられます。
同一材料を使用する
まず電色を防ぐには、同一の金属を使用するという方法が考えられます。
金属同士に電位差がなければ電食は発生しないので、同じ材料で統一するという方法が有効です。
水分の侵入を防ぐ
異なる金属を使っていても、水分がなければ電食は発生しません。
そのため異種金属を使用する箇所には水滴が入らないようにすることや、結露発生を防ぐなどの工夫が必要です。
電位差の小さい材料を間に入れる
金属同士に電位差があるために電食は発生します。
そのため電位差の小さい材料を間に挟めば電食は発生しません。
例えば、鉄のネジとステンレスの板金の中で電食が発生した場合、間に樹脂のワッシャーを挟んで対策する方法が考えられます。
ただし、樹脂の場合は金属と比較して強度が落ちるなどのデメリットがあるので、注意しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は金属の電食について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 電食とは、異なる金属と水分によって発生する腐食のこと
- 金属同士の電位差によって電食は発生する
- 電食を防ぐには、電位差をなくすか、水分の侵入を防ぐ必要がある