皆さんはエコデザインという言葉をご存じでしょうか。
近年は製品開発において環境負荷の影響に注目が集まっています。
今回は機械設計におけるエコデザインについて解説していきたいと思います。
エコデザインとは
エコデザインとは、環境負荷を最小限に抑えることを目的とした設計手法のことを指します。
設計段階で環境への影響を考慮することで、資源の効率的な利用や廃棄物の削減をすることが可能です。
実現するために色々な手法がありますが、例として以下のような言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
ライフサイクルアセスメント
原材料の調達から製品の廃棄まで、環境負荷を評価する手法のことを指します。
ここでの環境負荷とは、温室効果ガスの排出量や水質汚染量など様々です。
どの段階でどれだけ環境負荷を与えているかを、定量的に計測することで、改善点を明らかにすることが可能となります。
3R
リデュース・リユース・リサイクルの略です。
部品などの廃棄量を減らす(リデュース)、捨てずに再使用する(リユース)、そして材料を分解して別製品に再利用する(リサイクル)という3手法が挙げられます。
省エネルギー化
製品の運用中のエネルギーを抑えるという考え方です。
使用するエネルギー自体を減らすことで、運用中に生じる温室効果ガスの排出量を減らします。
エコデザインを考慮する重要性

なぜエコデザインの考慮が重要なのでしょうか。
それは、エコデザインを考慮することで、環境だけでなく、社会や経済に対しても好都合な役割があるためです。
例えば、環境意識の高い製品を提供することで、消費者や投資家から信頼を得やすくなります。
また、EUで販売するためにはRoHS規制やREACH規制に準拠する必要があります。
このような法規制を満たして、世界的に製品を販売していくためにも、エコデザインを考慮することは必要となります。
機械設計におけるポイント
機械設計において、どのような点がエコデザインに繋がるのでしょうか。
以下のような点が例となります。
材料選定
リサイクル可能な金属を使用することで、環境負荷を軽減することができます。
他にも、バイオマスプラスチックを優先的に採用することもエコデザインと考えられます。
例えば、最近では、以下のようにごみ袋などにもバイオマスプラスチックが使用されています。
ただし、このような材料は通常の材料に比べて、強度や耐熱性が劣ることもありますので、選定時は物性値に注意しましょう。
使用段階での効率化
使用段階のエネルギー効率を考えることもエコデザインに繋がります。
例えば、製品を軽量化・小型化することで、一度の輸送で運べる量を増やすことができます。
廃棄後の分解性
廃棄時にかかるエネルギーを減らすことも重要です。
例として、分解しやすい製品設計をすることが挙げられます。
金属とプラスチックが接着している部品はリサイクルができず、焼却する場合も大きなエネルギーを要していしまいます。
実際の設計事例

機械設計でも、代表的なエコデザインの事例があります。
・自動車業界
部品にアルミニウムやカーボンファイバーなどの軽量素材を採用することで、燃費を向上させることに成功しています。
・家電業界
エアコンや冷蔵庫のエネルギー効率を上げることで、環境負荷を減らしています。
・電子機器業界
バイオプラスチックを積極的に採用し、温室効果ガスの排出量を減らしています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、機械設計におけるエコデザインについて解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- エコデザインを適用することで、環境負荷を軽減することができる
- 環境負荷以外にも、社会や経済にも良い影響を与えることができる
- 機械設計では、材料選定や省エネルギー化で貢献可能