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材料力学

材料と形状のどちらが強度を大きくできる?【材料力学的解説】

皆さんは変形しにくい材料といえば、何が思い浮かびますか?

例えば鉄は変形しにくい、プラスチックは変形しやすいとイメージが湧くと思います。

一方で、変形しにくい形状はどのような物でしょうか?

断面積が大きい形状や断面二次モーメントが大きい形状があると思います。

それでは、材料と形状はどちらの方が影響を与えやすいのでしょうか?

今回は材料と形状のどちらを変えると変形しにくくなるかを解説していきたいと思います。

変形の基本式

曲げ変形のイメージ

まず、形状の変形はどのような式で表されるのでしょうか?

変形を固定支持の片持ち梁の曲げによるものと考えると、以下の式で表されます。

数式

$δ=\dfrac{FL^3}{3EI}$・・・①

$δ$:梁のたわみ[$m$]

$F$:梁にかかる荷重[$N$]

$L$:梁の長さ[$m$]

$E$:梁のヤング率[$Pa$]

$I$:梁の断面二次モーメント[$m^4$]

つまり、式①の分母の値が大きいほど変形しにくいと考える事ができます。

変形を抑えるためにはヤング率$E$を大きくする、または断面二次モーメント$I$を大きくすることが必要になります。

より詳しくは以下の記事に記載しています。

ヤング率はどのくらい?

ヤング率は材料によって異なります。

一般的には以下の表のようになっています。

材料によって異なりますが、プラスチックの方が小さく、変形しやすいことが分かります。

断面二次モーメントはどのくらい?

断面二次モーメントとは、断面の形状によって異なります。

断面形状と形状の関係は以下の表のようになります。

ちなみに断面二次モーメントについては、以下の記事で説明しています。

変形はどのくらい異なる?

例えば、プラスチックを鉄に変更する場合を考えてみましょう。

このときヤング率は約81倍異なるので、式①から考えると形状が同じであれば変形も81分の1倍になります。

これは断面が円であれば、直径は3倍大きくする必要があります。

断面が長方形であれば、幅を81倍、または高さを4.3倍大きくすることで、変形を同じ量にまで抑えられます。

例えば、スマートフォンの幅は70mm程度ですが、強度が足りないからと言って5.6mまで大きくできないですよね。

同じように、高さも4.3倍まで大きくできるケースは少ないと思います。

つまり、形状を大きくするよりも、材料を変形する方が圧倒的に変形を小さくすることができます。

変更によるデメリット

材料を変えることで強度を大きくできるとはいえ、デメリットも多くあります。

例えば、以下のような点が挙げられます。

材料変更によるデメリット
  • 重量が増える
  • 強度が変わる
  • コストが増える
  • 放熱性が変わる
  • ノイズ性能が変わる

例えば、プラスチックから金属に変えると、密度が大きくなるので重くなってしまいます。

強度については、ヤング率とは別に引張強さや降伏応力という値が異なるので注意が必要です。

コストについては、当然高い材料・安い材料があります。

一般的には、金属の方が高いので、許容できるかの確認必要になります。

放熱性・ノイズ性能についても金属の方が有利となります。

このように多数のデメリットを許容できるかを考慮して設計することが重要です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は材料と形状のどちらが影響を与えやすいかを解説してきました。

まとめると以下のようになります。

まとめ
  • 材料と形状であれ材料の方が影響を与えやすい
  • 材料変更と同じだけ形状を変えようとすると数倍大きくする必要がある
  • 材料変更する場合は、デメリットにも注意する

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