皆さんは比重という言葉を聞いたことはありますか。
材料の密度を調べようとして比重にたどり着くということもあるかと思います。
今回は比重と密度の違いについて解説していきたいと思います。
密度とは?
比重の説明をする前に、まず密度という言葉について説明します。
密度とは、単位体積あたりの質量のことを指します。
単位は[$g/cm^3$]や[$kg/m^3$]のような値が一般的かと思われます。
計算式としては、質量÷体積で求められます。
材料によって決まる値で、基本的に同じ材料であれば、ほぼ同じ値を使用することができます。
ただし、温度によって変わる場合があるので、常温から100℃以上の温度差がある場所などで使用する装置などの場合は注意が必要です。
比重とは?
比重とは、4℃の水の密度と比較して、何倍密度が大きいかを示した値になります。
比重が1より大きい値であれば、水に入れた時に浮き、比重が1より大きければ水に入れた時に沈むことになります。
材料を水に入れた時の状態を数式で表すと以下のようになります。
材料が水に沈む場合
$ρ_材Vg>ρ_水Vg$・・・①
⇔$ρ_材/ρ_水>1$・・・②
$ρ_材$:材料の密度[$g/cm^3$]
$ρ_水$:水の密度[$g/cm^3$]
$V$:材料の体積[$cm^3$]
$g$:重力加速度[$m/s^2$]
式①の左辺が材料にかかる重力、左辺が浮力になります。重力が大きいため、水に沈むことを表しています。
式②の左辺が比重を表しています。
つまり、密度を密度で割っているため、比重に単位はありません。
比重と密度の関係式は?
それでは、比重と密度にはどのような関係があるのでしょうか。
比重は水の密度を基準としていますので、水の密度はどのくらいかを考えてみましょう。
水の密度は以下の表のようになります。
つまり、水の密度が1となる単位のため、比重は[$g/cm^3$]、[$g/mL$]、[$kg/L$]と同じ単位と考えることができます。
このように比重が適用できる単位を分かっていれば、比重から密度を算出することもできます。
例えば、鉄の比重は約7.87のため、ここから[$kg/m^3$]の単位に直したい場合、1000倍して7870[$kg/m^3$]と計算することができます。
機械設計での使用例
機械設計では、密度を使用する場合は大きく3パターンあります。
- 装置の質量を把握する
- 応力解析で強度を確認する
- 熱流体解析で時間を算出する
装置の質量は、仕様を満たしているかどうかを判断するだけでなく、重心の把握にも役立ちます。
応力解析の場合は、自重によるたわみの影響を考慮することができます。
熱流体解析の場合は、密度が時定数に関係するため、温度が上がりきるまでの時間を判断できます。
時定数については以下で解説しています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は密度と比重について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 密度は質量を体積で割った値
- 比重は水の密度に対して何倍の密度かを表した値
- 水の密度が1になる単位から、必要な単位の値を計算できる