皆さんは共振という現象を知っていますか。
機械力学の世界では、共振が発生すると大事故になってしまうこともあります。
今回は共振について解説していきたいと思います。
共振とは?
共振とは、ある周期的な振動が加わることで、振動が大きくなってしまう現象のことです。
例えば、小さい時にブランコで遊んだことはありますか。
最初は漕いでも全然高くまで動かないと思いますが、特定の周期で漕ぐと、どんどん高くまでいけるということを体験したことがあるのではないでしょうか。
これが共振という現象です。
ブランコだけでなく、どんな物にでも共振が発生します。
でも考えてみてください。
地震が起こったとき、地震の振動以上の大きさで突然ビルや橋が大きく揺れたりしたら怖いですよね。
最悪の場合、そのまま壊れてしまうかもしれません。
そのため、機械や建造物には共振を抑える工夫が施されています。
共振の原理
簡単な数式で考えてみます。
今回は物体がばねのみに支えられており、減衰しない場合を考えます。
このときの条件は、質量$m$[$kg$]の物体が、ばね定数$k$[$N/m$]のばねで支えられ、一定の角速度$ω$[$/s$]で荷重が与えられるものとします。
運動方程式は以下の式で与えられます。
$m\dfrac{d^2x}{dt^2}+kx=F・cos(ωt)$
$m$:物体の質量[$kg$]
$k$:ばね定数[$N/m$]
$F$:物体にかかる最大荷重[$N$]
$ω$:荷重の角速度[$/s$]
$x$:物体の変位[$m$]
$t$:荷重を加えている時間[$s$]
このときの解$x$は、基本解と特殊解の和によって表されます。
基本解とは、運動方程式の左辺=0 が成り立つ場合の解になり、特殊解は強制外力によって生じる振動になります。
式で表すと、以下のようになります。
$x=x_h+x_f$
$x_h$:基本解
$x_f$:特殊解
ここで特殊解$x_f$の方に着目します。
特殊解は強制外力によって生じるので、振幅$X$を用いて、$x_f=X・cos(ωt)$と置くことができます。
この値を運動方程式に代入してみると、以下のようになります。
$((-mω^2+k)・X-F)・cos(ω・t)=0$
この数式がいかなる時間$t$に対しても成り立つので、$X$は以下のようになります。
$X=\dfrac{F}{-mω^2+k}$
ここで、この振幅について考えてみましょう。
荷重$F$と物体の質量$m$とばね定数$k$は定数として、荷重の角速度$ω$と振幅$X$の関係をプロットすると、以下のグラフのようになります。
ただし、$F=10N、m=1kg、k=5N/m$としています。
グラフを見てみると、角速度が2を超えたあたりで振幅が大きくなっていることが分かると思います。
つまり、ある角速度の振動を与えた時、振幅が大きくなってしまうことを表しています。
これが共振です。
共振する値を知るにはどうすればいい?
振幅の式の分母($-mω^2+k$)に着目してみましょう。
この分母が0になったときに振幅が発生します。
この場合、荷重の角速度を求めると、以下のようになります。
$ω=\sqrt{\dfrac{k}{m}}$
つまり、共振するときの角速度は物体の質量とばね定数によって決まります。
実際に前述の例で角速度を計算してみると、$ω=\sqrt{\dfrac{5}{1}}$、
つまり$2.23/s$となりますので、グラフの共振している値と近くなることが分かると思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は共振について解説してきました。
まとめると、以下のようになります。
- ある周期的な物体に荷重がかかると、振幅が大きくなる
- 上記の現象を共振と呼ぶ
- 共振を抑えるには、質量とばね定数を制御する