公園の遊具といったら、何を思い浮かべますか?
ジャングルジム、すべり台、シーソーなど色々あると思います。
よく考えると、ジャングルジムは上に乗っても壊れないような材料強度、すべり台は位置エネルギーと運動エネルギーの関係、シーソーは中心軸の回転や慣性モーメントなど、機械設計のエッセンスが詰まっています。(※個人の感想です)
今回はその中でもブランコについて解説してみたいと思います。
ブランコが揺れる原理
ブランコを振り子として考えてみましょう。
すると運動方程式は以下のようになります。
$ml\dfrac{d^ 2θ}{dt^ 2}=-mgsinθ$
$m$:ブランコに乗っている人の質量[$kg$]
$l$:ブランコの鎖の長さ[$m$]
$g$:重力加速度[$m/s^2$]
$θ$:回転角
中心よりも右側にいるとき($θ$>0のとき)、式①の右辺の値は負となるので、左側に戻ろうとする力が働きます。
一方で中心より右側にいるとき($θ$<0のとき)、式①の右辺の値は正となるので、右側へ力が働きます。
具体的にグラフにすると以下のようになります。
縦軸が右方向に移動しようとする力(値が負なら、左に移動しようとする力)を示しており、横軸は回転角(-30<$θ$<30)を表しています。
このように中心に戻ろうとする力が常に発生しているので、ブランコは揺れることができています。
ブランコの揺れを大きくするには?
どうすればブランコの揺れを大きくできるのでしょうか?
皆さんの感覚でご存じの通り、”漕げ”ば揺れが大きくなります。
では、どのように漕げばいいのでしょうか。
数式①を解いてみると、以下のようになります。
ただし、角振幅が小さいので、$sinθ≒θ$と近似できるものとして考えます。
$θ=A・cos(ωt)$
ただし、$ω=\sqrt{\dfrac{g}{l}}$
$A$:初期振幅
$ω$:角振動数[$/s$]
$t$:経過時間[$s$]
一見すると、式②は定数で成り立っている式なので、を大きくするすることは不可能のように思います。
しかしこの振動は、重力以外の影響を一切加えない場合を想定しています。
実際は”漕ぐ”という影響を加えます。
そのときに重要となるのが、角振動数になります。
つまり、角振動数$ω$と同じ振動を加えることができれば、ブランコが共振を起こして揺れが大きくなります。
共振については、以下の記事で紹介しています。
どのくらいの振動を与えればいい?
実際にどのくらいの振動を加えればいいのでしょうか。
まず角振動数$ω$を振動数$f$という値に変換してみます。
$f=\dfrac{ω}{2π}$
角振動数$ω$は、重力加速度とブランコの鎖の長さによって決定します。
重力加速度は一定なので、ブランコの鎖の長さで、どのブランコでも共振する振動数が決まってしまいます。
ここで振動数と、ブランコの鎖の長さの関係を以下のグラフに示します。
縦軸がブランコの鎖の長さで、横軸が振動数を表しています。
このグラフから、ブランコの鎖が長いほど、小さい振動数で共振することが分かります。
実際のブランコは鎖が$1~2m$程度と想定されますので、1秒間に0.5~0.4回振動すれば、共振して振幅が大きくなることが分かります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はブランコの振動について紹介してきました。
まとめると以下のようになります。
- ブランコは重力によって常に中心に戻ろうとする力が働いている
- 一定の振動数を与えることで、共振して振動が大きくなる
- ブランコの鎖が長いほど、小さい振動数で共振する