機械設計では、発熱部品や装置の温度管理が性能・寿命・安全性に直結します。
伝熱設計を正しく行うことで、過熱による故障を防ぐことが可能です。
今回は電熱の基礎理論から、ヒートシンクの設計方法を解説していきたいと思います。
伝熱の基本
熱を伝える方法は、主に3つの方法があります。
熱伝導
熱伝導は、固体内で熱が伝わる方法を指します。
温めたフライパンを触ったとき、熱いと感じたことがあると思います。
それと同様に、熱が固体内で広がっていくことを熱伝導と呼びます。
機械の放熱手段でも、最も一般的と言えます。
対流
対流は、流体を使って熱を移動させることを指します。
このときの流体は空気だけでなく、水などの液体を用いることもあります。
例えば、工作機械の冷却には油を用いることが知られています。
流体の流し方も、ファンやポンプを用いて循環させることもあれば、温度差によって空気中に放熱させることもあります。
放射
放射は、赤外線による熱の移動のことを指します。
例えば、太陽の熱が地球まで届くのは放射によるものです。
機械としては、屋外に置いておく装置に遮光板を施して、太陽光による温度上昇を防ぐという方法があります。
伝熱設計のステップ
伝熱計算を行うには、主に4つのステップがあります。
発熱量の把握
部品の消費電力や発熱量を把握します。
例えば、電子部品では消費電力のほとんどが熱として発生してしまいます。
許容温度の設定
部品や素材の許容温度を設定します。
部品が耐えられるギリギリの温度を設定すると、ばらつきによって耐えられないことがあります。
そのため、部品の耐熱温度ではなく、マージンを加えた温度を許容温度とすることも多いです。
放熱方法の選定
発熱部品をどのように冷やすかを選定します。
まず自然空冷で冷やすか、FANなどの動力を用いて強制空冷で冷やすかの決定が必要です。
発熱量が大きい場合は、水冷も選択肢に入ります。
その上でヒートシンクの有無を検討します。
熱抵抗の計算
周囲空気と発熱量、許容温度から熱抵抗を計算します。
熱抵抗値が大きいほど放熱しにくく、温度が上がりにくい傾向になります。
ヒートシンクの設計ポイント
ヒートシンクの設計のポイントとして、材質と形状の2つがあります。
ヒートシンク材質
ヒートシンクには、発熱部品から伝わってきた熱を広げるという役割があります。
熱と温度には、以下の式のような関係があります。
$Q=k・A\dfrac{ΔT}{d}$
$Q$:発熱量[$W$]
$k$:ヒートシンクの熱伝導率[$W/m・K$]
$A$:熱が移動する面の面積[$m^2$]
$ΔT$:温度変化[$K$]
$d$:熱が移動する厚さ[$m$]
この数式から分かる通り、発熱量が一定の場合は、ヒートシンクの熱伝導率が大きいほど、温度差が小さくなる、つまりよく冷やすことができるということが分かります。
そのため、ヒートシンクの材質には、熱伝導率が高い物を選定しましょう。
具体的には、アルミニウムや銅で作られたヒートシンクが一般的です。
ヒートシンク形状
熱伝導率だけでなく、表面積も放熱に影響を及ぼします。
フィンを多くすることによって表面積が大きくなり、放熱効果も上がります。
このとき、フィンの向きは風が通りやすい方向にすることが重要です。
$Q=h・A・ΔT$
$Q$:発熱量[$W$]
$h$:空気とヒートシンクの熱伝達率[$W/m^2・K$]
$A$:ヒートシンクの表面積[$m^2$]
$ΔT$:温度変化[$K$]
設計検証方法
設計したヒートシンク形状に問題ないかは、測定器を用いて検証を行うことができます。
主に温度測定を行い、設計通りの温度になっているかを確認します。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はヒートシンク設計について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 熱は伝導・対流・放射によって伝わる
- 伝熱設計では、発熱量と許容温度から熱抵抗を求める
- ヒートシンク選定には材質と形状の考慮が必要




