皆さんはねじを締め付けるとき、どのくらい力を加えますか?
普段はあまり意識しないかもしれません。
今回はねじの締付トルクについて解説していきたいと思います。
締付トルクとは?
ねじを締めるとき、当然力を加えますよね。
ねじに対して、回転させる向きの力を加えていると思います。
このとき、力の単位は$N$(ニュートン)ではなく、$N・m$になります。
例えば、レンチのような工具でボルトを締め込む場合を考えてみましょう。
ボルトからレンチの持ち手までの長さが$20cm$で、$10N$の荷重を加えた場合、トルクは$2N・m$となります。
ねじを締めるときはこのようなトルクを規定します。
トルクがどのくらい締結に影響するかは、以下の記事で解説しています。
標準の締付トルクは?
標準の締め付けトルクは、目安が決まっています。
このトルクはなじの径とねじ材質によって決まり、一例を以下に示します。
締付トルクが弱すぎると緩みやすくなってしまい、強すぎるとねじが壊れてしまいます。
適切なトルクで固定することで、緩みや破損の無い製品を作り上げることができます。
ただし、表の値はあくまでも”目安”です。
実際にトルクが適切かは、組み立ててみて評価してみることが必要です。
ねじが緩む原因は?
ここでねじが緩む原因を考えてみましょう。
ねじ緩みの原因は大きく分けて2つあります。
回転緩み
締結した後に材料が動くことでねじが緩む現象です。
一度締結した部品を外すときは、ねじを反時計回りに回して外すと思います。
これは締結材を時計回りに回していることと同じ考えになります。
つまり締結材が回転するような外力を受けることで、ねじは緩んでしまいます。
非回転緩み
回転が発生しない状態において、ねじが緩む現象のことを指します。
回転緩みと比較すると、こちらは少しイメージが分かりづらいかもしれません。
代表例としては、熱による緩みが考えられます。
例えば、金属をねじで固定した後に急激に温度が下がったらどうでしょうか?
金属は温度で収縮するため、金属とねじの間に隙間が生まれます。
このことで緩みが発生してしまいます。
逆に温度が上がることによっても緩む可能性はあります。
締結材とねじの線膨張係数の関係によって緩む原因は変わってきます。
温度が上がるときにねじが緩む条件
締結材の線膨張係数 > ねじの線膨張係数
温度が下がるときにねじが緩む条件
締結材の線膨張係数 < ねじの線膨張係数
他にも陥没による緩みや落下による衝撃などの過大な外力による影響で緩むこともあります。
このように締結後の様々な要因によってねじ緩みは発生します。
つまり、締付トルクは、実際に発生し得る振動や衝撃・熱を加えたりすることで問題ないかを確認して決定していきます。
参考元
締付トルクを管理するには?
締付トルクは専用の工具を使って管理しています。
例えば、通常のねじの場合は、トルクドライバーと呼ばれる工具で締め付けます。
ナットやボルトの場合は、トルクレンチと呼ばれる工具で締め付けることで、数値管理を行うことが可能です。
このようなトルクレンチやトルクドライバーは、設計者の方でも1本持っておくと重宝します。
実際に筆者も出張先で急遽必要になったことがありました。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回はねじの締付トルクについて解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- ねじを締め付けるときはトルクと呼ばれる値で管理する
- 締付トルクはねじ径や材質を元に標準締付トルクを決定し、振動や温度差による影響を確認して決定する
- トルク管理は、専用の工具を使って行う