皆さんは機械図面で仮想点を見たことはありますか?
よく使われることが多いですが、意外と注意点があります。
今回は図面の仮想点について解説していきたいと思います。
仮想点とは?
仮想点とは、文字通り仮想的に決めた点のことを指します。
通常、図面の寸法は辺から辺のように、実際にある点の間を指定します。
しかし仮想点を使った場合、実際に見えない部分と実在部分の間の寸法、もしくは実際に見えない部分同士の寸法を指定することになります。
仮想点を使う理由
仮想点を使う理由として、丸みのある部分に寸法を入れたい場合は使用することになります。
例えば、斜めに角度をつけた形状の場合を考えます。
このとき、全ての角は面取りをして丸くなっているため、角から角までの寸法は測定できません。
そのため、各辺を延長した仮想点を設定し、仮想点同士の寸法を指定することがあります。
また欲しい半径形状が大きい場合にも仮想点が使われます。
例えば、丸いお皿のように中央が弧のようにへこんでいる場合があります。
このような形状の場合は、Rの中心点が仮想点となります。
仮想点の注意点
仮想点を使った寸法は、測定が難しいという欠点があります。
測定が難しいと、その分測定誤差が大きくなることが考えられます。
そのため、仮想点を使った寸法に寸法公差を指定してしいまうと、不良品率が大きくなったしまいます。
不良品率が大きくなれば、その分加工時間もコストも増えてしまいます。
半径の場合、半径測定器を使うという測定方法もありますが、長さ寸法を測定する場合、通常はノギスなどの測定器で測定します。
そのため、長さ寸法で寸法公差を指定してしまうと、測定難易度がますます上がってしまうので、可能な限り寸法公差は指定しないようにしましょう。
ちなみに寸法公差については以下の記事で解説しています。
穴の中心感距離の仮想点
仮想点の例として、ねじ穴などの穴の中心点も考えられると思います。
しかし、穴間距離は組み立て時にずれると問題になるため、寸法公差を指定することが多いです。
これは仮想点同士の長さ寸法で寸法公差が入っているので、一見問題があるように見えます。
穴間距離はどのように測定しているのでしょうか?
実は穴間距離はピッチノギスのような機器を用いて寸法測定できる方法があります。
そのため穴間距離は寸法公差を指定していたとしても、問題なく測定することができます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は図面の仮想点について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 仮想点とは、実際の形状には存在しない部分に指定した点
- 弧状の形状を作った場合に指定することが多い
- 仮想点から寸法を指定したときは、寸法公差を指定しない方が望ましい