皆さんはシールと聞いて何を思い浮かべますか?
印刷された絵を糊で貼ることでしょうか。
多くの方は、上記のシールを思い浮かべるかもしれません。
今回は機械工学で使用するシールについて解説していきたいと思います。
シールとは?
シールとは、液体や気体の漏れを防ぐために隙間を塞ぐ物もしくはその行為になります。
シーリングと呼ばれることもあります。
例えば、扉の戸当たりの部分を見てみましょう。
扉が衝突する箇所にゴムのような素材が張り付いているのではないでしょうか。
これがシールです。
扉の場合は、戸当たり時の衝撃を抑えるという目的もありますが、部屋の中の空気が外に逃げないようにするという理由もあり、シールしてあります。
シールできる原理
二つの部品を組み合わせるときを考えてみましょう。
このとき、どんなに精度よく部品を作れたとしても、隙間が生じてしまいます。
小さな隙間があれば水も空気も漏れてしまうということは想像できると思います。
そこでこの隙間を塞ぐ方法がシールというわけです。
シール材にはゴムのように、簡単に潰れるような素材が使用されています。
そのため設計時には、あえてシール材と干渉するような配置にしておき、シール材を潰れるようにしておきます。
すると、部品と部品の間にシール材が挟まるため、水や空気が入り込む隙間がなくなります。
潰し量は、シール材の材料によって異なりますが、元の大きさの20%~50%ほど潰すような物が多いです。
ねじ止めでは駄目なのか?
一見すると、2つの部品をねじで隙間がないように固定すればいいように思えます。
しかしねじ止めでは、部品表面微小の凹凸から水や空気が侵入してしまいます。
部品表面は凹凸数μmの大きさがあるので、水であれば、中に浸み込んでいってしまいます。
そのため、水や空気の侵入・漏れを気にする場合には、シール材を使用しましょう。
類似品の違い
シール目的で使われるものには、パッキン、ガスケット、液状シール材などの種類があります。
厳密には以下に示す違いがありますが、一般的にシール材と言われれば、「パッキン」と呼ばれることが多いです。
パッキン
パッキンとは、動きのある部品に対してシールを行うときに用いられます。
例えばモーターで動くポンプの漏れ止めにはパッキンが用いられています。
戸当たりゴムなどもパッキンと呼ばれます。
ガスケット
ガスケットとは、動きのない部品間の漏れ止めに使用されます。
例えば、パイプ間の漏れ止めにはガスケットが用いられています。
O-リングもガスケットとして使用されます。
液状シール材の違い
一般的な機械であれば、ゴムのような素材が使われることが多いですが、液状のシール材も存在します。
「コーキング材」と呼ばれることもあります。
液状のチューブから、シールする部分に塗布して、時間が経つと固まるようになっています。
これは分解をしないことを前提としている場合には使用されることもあります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は機械工学のシールについて解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- シールとは、水や空気の漏れを防ぐためのもの
- ねじ止めと異なり、隙間をゴムなどで塞ぐことで漏れを防げる
- 材料形状や使用する箇所によって名称が異なるので、注意が必要