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機械力学

減衰振動と自励振動の違いとは?【機械力学的解説】

皆さんは風が強い日はどのように過ごしますか?

風が強い日に町の中を歩いて観察してみると、風が吹くことによって、物体は2種類のどちらかの振動が発生していることにお気付きでしょうか。

今回はその2種類の減衰振動と自励振動について解説していきたいと思います。

減衰振動とは?

減衰振動とは、文字通り段々と揺れが収まっていく振動のことです。

まず、物体に周期的でない力を与えるとどうなるでしょうか。

最初は揺れていても、しばらく時間が経つと揺れが収まると思います。

これは減衰があるためです。

運動方程式は以下のようになります。

数式

$m\dfrac{d^ 2x}{dt^ 2}+c\dfrac{dx}{dt}+kx=F_1$・・・①

$m$:物体の質量[$kg$]

$c$:減衰係数[$N・s/m$]

$k$:ばね定数[$N/m$]

$x$:変位[$m$]

$t$:時間[$s$]

ここで、運動方程式の解は以下のようになります。

数式

$x=e^{-ζωt}(A・cos(ω_dt)+B・sin(ω_dt)$・・・②

$ζ$:減衰比$(=c/(2\sqrt{mk})$

$ω$:固有振動数$(=\sqrt{k/m})$

$ω_d$:減衰固有振動数$(=ω\sqrt{1-ζ^2})$

この結果をグラフで表すと、以下のようになります。

縦軸が変位$x$で、横軸が時間$t$を表しています。

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減衰振動の例

時間を追うごとに、値が小さくなっていることが分かると思います。

自励振動とは?

自励振動とは、非周期的な力によって振動が増幅してしまうことです。

例えば、以下のような状況を考えてみましょう。

f:id:karasu_16:20220106205404g:plain

摩擦によって力が発生していますが、周期的な力ではありません。

運動方程式は以下の式で表されます。

数式

$m\dfrac{d^ 2x}{dt^ 2}+kx=F$・・・③

ここで摩擦力は滑り速度を用いて以下のように表されます。

数式

$F=F_0-γ(v-\dfrac{dx}{dt})$・・・④

よって数式④を用いて数式③を整理すると以下のようになります。

数式

$m\dfrac{d^ 2x}{dt^ 2}-γ\dfrac{dx}{dt}+kx=F_0-γv$・・・③’

この運動方程式の結果をグラフで表すと、以下のようになります。

横軸が時間$t$で、縦軸が変位$x$を表しています。

f:id:karasu_16:20220107210526p:plain
自励振動の例

減衰振動と異なり、時間を追うごとに値が大きくなっていることが分かります。

例えば、旗などは自励振動の代表例と言われています。

減衰振動と自励振動の違い

では、数式①と数式③’を比較してみましょう。

③’の右辺は定数なので、一定と考えることができます。

左辺を比較すると、減衰係数の文字は異なりますが、項の係数がマイナスか、プラスかだけの差です。

よって$γ=-c$と考えると、解は同じ数式①と数式③’で同じになり、どちらも数式②で表すことができます。

結果をグラフで比較してみると以下のようになります。

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減衰振動と自励振動の比較

このように係数は同じ値を採用していても、減衰係数の値が負になっているものを自励振動と表すことができます。

挙動は減衰振動と逆で、時間が経つほど発散していく振幅が大きくなって発散していきます。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は減衰振動と自励振動について解説してきました。

まとめると以下のようになります。

まとめ
  • 減衰振動は、時間を追うごとに振幅が小さくなっていく振動
  • 自励振動は、時間を追うごとに振幅が大きくなっていく振動
  • 減衰振動と自励振動の違いは、減衰係数の正負の違いにある
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