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機械製図

公差って何?【機械設計の基礎解説】

皆さんは公差という言葉を聞いたことがありますか。

機械以外でも加工を行うときには、公差を問われることがあるかもしれません。

今回は公差について解説していきたいと思います。

公差とは

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例えば、あなたがホームセンターで木材を買ってきて、ノコギリで切るとしましょう。

1辺100mmの正方形の大きさに切り出すとして、ぴったりと加工することができるでしょうか。

恐らく無理ですよね。

どんなに器用な方でも、100.1mmになったり、断面が歪んでしまったりすると思います。

では1辺100mm±5mmの四角形に切り出すことは可能でしょうか。

1辺が95mmから105mmまで許容されるのであれば、コツさえ掴めば加工できそうですよね。

この「±5mm」という部分が公差と呼ばれています。

部品を加工する場合でも同じことが言えます。

どんなに技術のある加工会社でも、指定寸法通りぴったりの値を作ることはできません。

そのため設計者側から、どの程度まで寸法がズレても問題ないかを指定する方法が公差となります。

公差の種類

寸法公差

一般的に「公差」と呼ばれるものが、この寸法公差です。

図面には寸法の後ろに記載して表現します。

公差の記載方法は主に2通りあります。

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寸法公差の記載例

幾何公差

幾何公差は部品の傾きやゆがみを指定する方法になります。

大きめのプラスチックなどを作るときは、加工時に歪むことがあるので、指定することが多いです。

図面には、部品の面から線を出して書くことが多いです。

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幾何公差の記載例

公差が書いていない場合は?

公差が書いてない場合はJISの指定に従います。

JIS B 0405やJIS B 0419に寸法公差の指定があります。

組み立て部品の公差計算方法

f:id:karasu_16:20211225120125p:plain2個以上の部品を組み立てる場合、公差の考え方は2通りあります。

例えば二つの部品を合わせる場合を考えます。

部品Aは長さ30mm±0.3mm、部品Bは長さ40mm±0.4mmです。

この部品は合計で何mmになるでしょうか。

2通りの方法でそれぞれ考えていきます。

最大最小法

最大最小法は、単純に部品の公差を足し合わせる方法です。

今回の例では、0.3mmと0.4mmを合わせて、0.7mmとなります。

つまり、合計で70mm±0.7mm(69.3mm~70.7mm)になります。

この考え方を利用すると、組み合わせの理論上の最大値・最小値を考えることができるので、干渉して組み立てられない、という事態を避けることができます。

一方で、部品数が増えるほど寸法が増えていくため、部品の加工時に厳しい精度が必要になります。

二乗和法

2つめの考え方は二乗和法です。

この場合の公差は、組み合わせる公差をそれぞれ2乗して足し合わせた値の平方根を公差としています。

具体的には以下の式になります。

\sqrt{0.3^2+0.4^2}=0.5

つまり合計した大きさは70mm±0.5mm(69.5mm~70.5mm)です。

この考え方では部品数が増えても、合計した公差も小さくなる傾向があります。

そのため部品の公差は緩く設計することが許されます。

しかし組み立ての場合はどうでしょうか。

最大最小法のように、最悪のケースを想定していないので、干渉してしまう危険性はあります。

ただし、干渉してしまう可能性は、統計学的に0.3%程度です。

残りの99.7%の製品は正しく組み上がるという想定になります。

干渉してしまったら不良品となってしまうため、組み立てコストが増加してしまう傾向にあります。

公差の問題点

設計者側からすると、寸法に公差を書くと精度の良い部品を入手することができます。

しかし加工者側からするとどうでしょうか。

加工後に測定し、指定の公差内に入らないものは廃棄する、という工程を繰り返します。

つまり公差を指定するということは、コストが上がることに繋がります。

全ての寸法に公差を記載するのではなく、重要な部分のみに入れるようにしましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は公差について解説してきました。

まとめると以下のようになります。

まとめ
  • 公差とは、どこまで寸法や形状がズレていいかを指定するもので、寸法公差と幾何公差の二つがある
  • 寸法公差を最大最小法で考えると部品コストが高くなり、二乗和法で考えると組み立て時のコストが高くなる
  • 公差を指定しすぎるとコストアップに繋がる恐れがある
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