皆さんは図面の寸法を書くとき、どのように記載していますか?
過去の図面を参考にして同じように書いていると、思わぬところでトラブルが生じるかもしれません。
今回は寸法の種類とメリット・デメリットについて解説していきたいと思います。
直列寸法
直列寸法とは、一直線に寸法を記入する方法のことを指します。
1か所に寸法をまとめることによって、寸法記載のスペースを削減することができます。
形状同士の相対的な位置関係が分かるため、寸法を確認しやすいというメリットもあります。
しかし、組立部分の寸法公差を入れにくい、二重寸法を書いてしまいやすいなどのデメリットも存在します。
並列寸法
並列寸法とは、ある1か所を基準にして寸法を記入する方法のことを指します。
寸法を並べて記載するため、組立部分の公差を入れやすいというメリットがあります。
しかし、複数の寸法を並列で入れていくため、寸法を記入する広いスペースが必要となります。
また、他の方法に比べて寸法線の数が多くなるため、図面作成の工数が必要になります。
累進寸法
累進寸法とは、基準点を定め、基準点からの距離を示す方法のことを指します。
他の記載方法と比較して、寸法の個数が少ないため、省スペース化が可能となります。
全ての寸法を1か所に集中させることから、寸法線が重なると見にくい点や、寸法公差の記入が難しいというデメリットもあります。
各寸法での公差の考え
例えば、以下の形状の例を考えてみます。
この形状のとき、丸穴Aと丸穴C間距離はどのように差があるでしょうか?
直列寸法の場合は、丸穴Aから丸穴Bまで30±0.2mm、丸穴Bから丸穴Cまで35±0.3mmなので、合計で65±0.5mmとなります。
並列寸法の場合は、基準位置からの公差を直接記載できるので、65±0.3mmとなります。
累進寸法の場合は、まず端部から丸穴Aまで5±0.1mmつまり4.9mm~5.1mm。
一方で端部から丸穴Cまでは70±0.3mmつまり69.7mm~70.3mmとなるので、丸穴間距離は、最小で64.6mm、最大で65.4mmとなり、65±0.4mmと考えられます。
※ただし、上記の寸法公差の考え方は、簡単のため二乗和法ではなく最大最小法で計算しています。
このように各寸法記載方法には公差の考え方で差があるため、複雑な形状の図面では複数の書き方を併用していることもあります。
一般的には、「直列寸法と並列寸法の併用」または「累進寸法と並列寸法の併用」して記載されていることが多いです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は寸法の記載方法について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 直列寸法は一直線に記載できるので、位置関係が分かりやすい
- 並列寸法は基準位置からの寸法公差を直接記載できる
- 累進寸法は寸法記載スペースを狭くすることができる