皆さんはスマホやPCを長時間使っていて、気付いたら熱くなっていたという経験はありますか?
熱くなってしまったら動作も遅くなるし、持っていることも大変ですよね。
ところで放熱時間を短くするにはどうすればいいのでしょうか。
今回は伝熱工学的に、放熱時間を短くする方法を解説していきたいと思います。
放熱時間の求め方

放熱する時間を求めるため、簡単にモデル化して考えます。
高温の鉄球を、温度一定の水の中に入れた場合を仮定すると、鉄球の温度は以下の式で表されます。
このとき
ここで、時間を短くするために重要なパラメータが時定数

この結果から見ると、時定数
つまり物体を早く冷ますためには、時定数を小さくすることが必要になります。
時定数とは?
時定数とは、熱平衡状態に達するために必要な時間の目安を表したものです。
終端まで約63.2%の温度変化させるのに必要な時間と言われています。
時定数は以下の式によって求まります。
この数式の右辺の1つ目
2つ目の
熱抵抗については以下の記事でも解説しています。
数式より時定数とは、熱容量と熱抵抗の積によって表されていることが分かると思います。
放熱時間を短くする方法
数式を考えると、熱容量または熱抵抗の値を下げれば、時定数の値も小さくすることができます。
具体的には、以下の4つの方法が考えられます。
- 物体の質量
を小さくする - 物体の比熱
を小さくする - 物体間の熱伝達率
を大きくする - 熱移動する表面積
を大きくする
例えば、物体の質量
3点目の物体間の熱伝達率を大きくするには、周囲の流体を変更する・風を流して冷却するという方法が挙げられます。
そして4点目の方法は部材自体を大きくして、空気と触れる面積を大きくするという方法があります。
冷却したい機械の大きさや性能に合わせて、適切な冷却方法を選択しましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は熱くなった部品を早く冷却する方法について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 物体が冷却する時間は、時定数によって決まる
- 時定数は熱容量と熱抵抗の積によって表される
- 早く冷やすためには、物体の質量、比熱、熱伝達率、表面積を調整する