機械図面の面粗さ・幾何公差の考え方【機械製図の基礎解説】
図面を作るときに、面粗さや幾何公差は入れていますか?
面粗さ・幾何公差はとりあえず入れるものではありません。
入れ方を誤ると、トラブルを招いてしまうこともあります。
今回は設計者視点で、面粗さ・幾何公差の考え方について解説していきたいと思います。
面粗さ・幾何公差の目的
まず大前提として、面粗さ・幾何公差は「品質を保証するための手段」であって、描くことが目的ではありません。
次の問いに答えられるかという点を考慮しましょう。
- この面は何に使われる面か?
- 機能・性能にどんな影響があるか?
- 入れない場合、どんな不具合が起こるか?
これらの問いに答えられない場合、その面粗さ・幾何公差の指示は不要である可能性が高いです。
面粗さを入れるタイミング
まずは、面粗さから説明します。
どのような面に対して用いるかによってタイミングが変わります。
機能面・摺動面の場合
例えば、以下のような面は、設計初期から検討対象になります。
- 軸と軸受が接触する摺動面
- シールやOリングが接触する面
- 摩耗が発生する面
このような面は、製品の性能・寿命に影響します。
さらに後から変更すると、材料や加工工程を変更しなければならない、という恐れもあります。
加工方法含めて、初期段階から考慮に入れておくことが重要です。
組立精度・外観に影響する面
以下のような面は、要求仕様が明確になった時点で入れるのが適切です。
- フランジの合わせ面
- 外観品質を要求される表面
面粗さを安易に入れていけない理由
よくある失敗例として、図面全体にRa3.2を入れる、理由なく鏡面指定する、という方法が挙げられます。
この方法だと、加工方法が制限される、加工費が跳ね上がる、という問題点が挙げられます。
つまり、設計意図が伝わらない図面となってしまいます。
幾何公差を入れるタイミング
寸法公差だけでは機能を保証できないとき
例えば、以下のような場合が挙げられます。
- 位置ズレが組立不良に繋がる取付穴
- 同軸度・直角度が回転精度に影響する軸
- 平面度が密着性に影響する接着面
これらに共通するのは、寸法が合っていても、機能が成立しない、という点です。
このような場合は幾何公差を入れる必要があります。
基準位置(データム)が決まったとき
幾何公差はどこを基準に、どの関係を保証するかを明確にする指示です。
したがって、データムが決まらない状態で、幾何公差を入れることができません。
データムが決まったときに、幾何公差を入れるようにしましょう。
実際の判断フロー
実際に面粗さ・幾何公差を入れる場合は、以下の4つを意識しましょう。
- その面・形状は機能に影響するか
- 寸法公差だけで機能を保証できるか
- 組立・性能・寿命に影響があるか
- 加工・検査が可能か
この順で考えると、不要な指示を減らすことができます。
寸法公差と同様に、指示を減らすことでコストも下げることができます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は面粗さと幾何公差について解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 面粗さ・幾何公差は形状の品質を保証するための手段である
- 面粗さや幾何公差は要求仕様に応じて入れる
- 機能が保証できるかを優先して考える




