機械工学についての図面を学ぶと、色々な種類が出てきます。
業界や企業によっては、様々な種類があると思いますが、どの分野でも検討図・部品図・組図の3種類は最低限必要になると思います。
今回は図面の種類の違いについて解説していきたいと思います。
図面の考え方
まず、図面には誰かに形状を伝えるためのコミュニケーションツールという役割があります。
例えば営業部門の方であれば、契約書や見積書を取引先に持って行って契約すると思います。
設計者にとっては図面≒契約書のような意味合いがあり、記載されている内容に沿って取引先に動いて貰うという重要な役割を担っています。
そのため、どの図面でも誰に、何を伝えたいのか、という点を意識することが、図面の作成者から見ても、読み手から見ても、重要な観点となります。
検討図とは?
検討図とは、これから作成する製品の概要を示すための図面です。計画図と呼ばれることもあります。
この検討図を用いて、関係者に整合をとります。
検討図で重要なのは、全体の寸法がどのくらいになるか、部品点数が何点になるか、提示された仕様を満たしているか、などを分かるようにすることです。
この図を元に、各部門で検討を始める事もあります。
例えば、電気関係の部門ではケーブルの長さを決めたり、組立を行う部門では治具や製造ラインを考え始めたりします。
3DCADの場合は?
3DCADで設計する場合は、検討図作成を省略する場合があります。
これは手順を省略したという意味ではなく、3Dデータで検討したモデル自体を検討図として使用するという意味です。
2Dで図面を作成するよりも細部への記載が必要になるため、むしろ作成する工数としては3Dで作成した方が増える傾向になります。
その分検討図の段階から課題や懸念点を発見しやすくなることに繋がります。
部品図とは?
部品図とは、一つ一つの部品の細部形状を示した図になります。
この部品図は、加工者に作って欲しい形状を伝えるための図面になります。
必要な内容は、形状の寸法だけでなく、寸法公差、材質、処理、各注意事項をもれなく記載する必要があります。
ここでの記載漏れは後のトラブルに繋がるだけでなく、納期やコストにも関わってくるので、注意が必要です。
組立図とは?
組立図とは、文字通り部品の組み立て手順を表した図面になります。
組立図は、組み立てを行う方に対してどの手順で組み立てて欲しいかを示す図面になります。
必要な記載事項は、どの部品とどの部品を組み合わせるか、どの順番で組み立てるか、全体でどのくらいの大きさになるか、各種注意事項などです。
組立図での記載内容に分かりにくい点があると、組み立て不良が発生してしまいます。
検討図と組立図の違いは?
全体形状を記載するという意味では、検討図も組立図もほぼ同じように見えるかもしれません。
しかし検討図は関係者に製品を知って貰うために作成するのに対し、組立図は組み立ての方法を伝えるために作成します。
図面を作成する目的が異なるので、製品のどこをどのように見せたいかも変わってくると思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は検討図・部品図・組図の違いについて解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- 検討図は、関係者にこれから作る製品の情報を提供するための図
- 部品図は、部品加工者に加工する部品の詳細情報を伝えるための図
- 組立図は、製品を組み立てる方に組み立て手順を伝えるための図