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機械製図

板金の展開図寸法とは?【機械製図の基礎解説】

皆さんは板金のL字金具の図面を作成するとき、どのような形状を作りますか?

完成後の形状を記載しますか?それとも板金を折り曲げる前の形状を記載しますか?

現在の図面では完成後の形状を描くことが多いと思います。

しかし古い図面を見ると、折り曲げる前の形状を描いていることが多く見られます。

今回は折り曲げる前の展開図寸法について解説したいと思います。

そもそも展開図とは?

展開図とは、文字通り板金を折り曲げる前の図を表しています。

折り曲げた後の寸法を記載する方法と異なり、あらかじめ曲げの大きさまでを考慮して寸法を記載する必要があります。

展開図寸法の計算方法

加工後と展開図の寸法イメージ

展開図では、曲げの部分を伸ばして考えた値を図面に記載します。

この曲げは内Rの大きさと板厚によって決まります。

具体的に考えてみますと、以下の寸法のL字金具を展開図にするとき、寸法$L$は以下の式で表されます。

数式

$L=a+b+2π(r+\dfrac{t}{2})\dfrac{α}{360}$

$L$:展開図での寸法[$mm$]

$a$:縦の長さ[$mm$]

$b$:横の長さ[$mm$]

$t$:板厚[$mm$]

$r$:内曲げRの大きさ[$mm$]

$α$:曲げの角度[°]

この式の3項目が曲げの部分になります。

内曲げRの大きさと、板厚の半分の合計で、曲げ中心から板厚の中心までの距離を算出でき、弧の長さを計算しています。

つまり形状の長さだけでなく、曲げの大きさまでを考慮に入れて設計する必要があります。

展開図寸法を使うメリット

一見すると全体形状が分かりづらい展開図寸法ですが、使う上でメリットもあります。

加工時の形状が分かる

加工するときは、定尺と呼ばれる決まった大きさから必要な分だけを切り出して使用します。

展開図寸法であれば、図面を見て必要な分が分かるので、どのくらいの定尺を使えばいいかがすぐに分かります。

定尺については以下の記事で解説しています。

曲げ可能かの形状が分かる

CADで形作ることができたとしても、板金で曲げが不可能な形状もあります。

例えば、コストダウンのために、今まで削り出しで作成していた部品を板金に変更することがあったとしましょう。

板金では加工制限があるので、そのままの形状を適用したら、曲げ加工ができないという可能性があります。

しかし展開寸法であれば、元の板金かに対してどこをどのように曲げるかを考える必要があるので、曲げ可能かを先に検討しています。

展開図を修正するときの注意点

最近では、昔の展開図で記載された図面を修正する、という可能性もあると思います。

展開図のままで良ければそのまま修正できますが、最近では加工後の形状に修正して作り直すことが多いです。

この場合は何点か注意する必要があります。

全長の大きさ

前述の式の通り、全長の大きさを計算するときは、$π$が式に含まれています。

つまり全長の大きさは必ず無理数になってしまいます。

小数点以下を四捨五入して問題ないかを確認しておくことが重要です。

穴の位置

全長と同様に穴の位置も、曲げ加工前の長さを記載されていることがあります。

そんな穴位置を加工後にしてしまうとどうでしょうか?

間違いなく小数点以下でずれが発生していしまいます。

特に穴があるということは、ねじなどで固定する部品があるということなので、固定側の部品まで考慮することが必要です。

寸法公差の見直し

新しく寸法公差を入れる場合、加工後の形状に対して寸法公差を入れることになるので、公差設計をやり直す必要があります。

無理のない公差になっているか、検査が可能かを検討しておきましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回は展開図寸法について解説してきました。

まとめると以下のようになります。

まとめ
  • 図面の展開図は、曲げ加工前の形状を表した図
  • 展開図で描く場合、加工前の寸法や曲げ可能かの検討が必要
  • 加工後の形状図面に修正する場合は、注意が必要
本記事は以下の文献を参考にしています
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