皆さんはスナップフィットという言葉を聞いたことはありますか?
成形部品の固定を行う場合は候補に挙がると思いますが、何を表しているのでしょうか?
今回は成形品のスナップフィットについて解説していきたいと思います。
そもそも成形品とは?
成形品とは、液状に融かした材料を、金型と呼ばれる金属の型に流し込んで固めて作る方法のことを指しています。
主にプラスチックの製品で使用されていることが多いです。
金型については以下の記事で説明しています。
スナップフィットとは?
スナップフィットとは、成形品の弾力を利用して、部品同士を固定する方法のことを指します。
例えば、テレビのリモコンの電池の蓋は、ばねの部分を押し込んで開けていると思います。
ばねを押す前は成形品のツメがぶつかって開けられないようにロックしています。
この部分をスナップフィットと呼びます。
他にもLANケーブルの固定部分にも使われています。
その他の成形部品の固定方法
成形品の固定方法には、スナップフィットの他に、ねじ止めと接着の2種類があります。
ねじ止めの場合は、分解する前提でしっかり固定したい場合に用いられることがあります。
一方で接着の場合は、一度固定したら二度と分解しない場合を想定しています。
スナップフィットの種類
スナップフィットには大きく分けて2つの種類があります。
一度固定した後に外せる形状と外せないように完全固定する形状です。
外せる形状は、電池の蓋のように何度も開け閉めする場合に用いられます。
外せない形状は、部品同士をねじ無しに固定したい場合に用いられます。
スナップフィットのメリット
スナップフィットのメリットとしては、ねじなどの締結部品を使用することなく固定できる点になります。
例えば、ねじ固定の場合はねじを取り出す、ねじ穴にセットする、ドライバーを回すという手順が必要になるため、ねじ長さが5mmくらいだったとしても、1か所で6~7秒くらいかかると思います。
スナップフィットを使用した固定であれば、スライドさせるだけでいいので、1~2秒で固定できるので、組立時間の削減に繋がります。
もちろんねじの個数が多いほど効果も大きくなっていきます。
もしスライドするだけで固定できるのであれば、組立工数削減になるだけでなく、ドライバーが入らない部分でも固定することが可能です。
スナップフィットのデメリット
一方でスナップフィットのデメリットとしては、形状が複雑になること、締結がねじより弱いことの2点が挙げられます。
まず、形状についてですが、スナップフィットは矢印のような形状をしているため、金型で作る場合、通常のキャビ・コア構造で作ることができません。
当然金型が複雑になれば、コストの増加に繋がってしまうので、注意が必要です。
締結については、成形品の許容応力以上の応力がかかると当然壊れてしまいます。
大きな衝撃が生じる部分については、安全率を考慮して取り入れましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は成形品のスナップフィットについて解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- スナップフィットとは、成形品の弾性を利用して固定する方法のことを指す
- ねじなどの締結要素を用いることなく固定可能
- 金型形状が複雑になるため、コストには注意が必要