皆さんは成形品の「ボス」や「リブ」という形状を聞いたことはありますか?
どちらも形状を示す用語ではありますが、どのような形状なのでしょうか。
今回はボスとリブの違いについて解説していきたいと思います。
ボスとは?
ボスの形状
ボスとは、円柱や円筒のような形状のことを指します。
ボスの役割
ボスは基板や部品を支える役割を持ちます。
ボスの天面を平らにしておくことで、安定して支える事ができます。
また、円筒のボスを用いることで、ネジによって固定することもできます。
板金であれば、ネジ穴を切ってネジ固定することができます。
成形品の場合はリブをネジ穴として固定させることができます。
成形品のネジ穴を作る方法は大きく分けて2種類あります。
- タッピンネジを用いて、成形品を削りながらネジ穴を作る
- ナットを成形品に埋め込む
①の方法については、余分な部品を無くすことができますが、ネジの取り外しの度にボスの内側が削れてしまうので、複数回取付を行う場合には不向きです。
②の方法は、成型時または成型後にナットを成形品のボス中に圧入することで、金属のメネジ部分を作り出すことができます。
ただし加工上の制限や、部品が増えるので、コストアップに繋がることもあります。
いずれにしても、ボスを利用することで、成形品に対してネジ穴を作ることができます。
リブとは?
リブの形状
リブとは、直方体の凸部形状のことを指します。
ただし、実際には勾配が含まれるので、断面は台形のような形状になっていることが多いです。
リブの役割
ボスと同様にリブも部品を支えるという役割を持たせることもできます。
しかし、リブの大きな役割は、補強のことが多いです。
例えば、L字の形状が欲しい場合、部品が大きいと反ってしまいます。
また少しの衝撃が加わっただけで折れてしまう危険性もあります。
そこで中央部にリブの形状を入れておくことで強度を上げることができます。
これは、形状の断面二次モーメントが大きくなるため、強度が上がることに繋がります。
リブ付きのボスとは?
ボスの中には十字のリブを付けているものもあります。
これは、ボスの強度を上げるときに使用されます。
例えば、細長いボスを使用してタッピンネジで固定したい場合、ボスが折れやすくなってしまいます。
そのため、ボス自体にリブを立てて、強度を確保することが必要になります。
ボス・リブを作るときの注意点
ボスやリブを作るときの注意点として、ヒケ・ボイドと呼ばれる不具合が挙げられます。
ヒケとは、成型するときに肉厚の部分が薄くなってしまう不具合です。
ボイドとは、成型品の中に気泡が混ざってしまう不具合のことを指します。
どちらも肉厚になって樹脂の流れの悪さが原因となる不具合なので、対策としては、テーパの角度を急にする、根本にRを付けるなど、樹脂を流れやすくするという方法が挙げられます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は成形品のリブとボスについて解説してきました。
まとめると以下のようになります。
- ボスとは円柱・円筒の形状で、部品を支えるときに使用する
- リブとは角柱の形状で、補強のために使用する
- ボスやリブを付けるときは、ヒケ・ボイドなどの不具合に注意する